エアライン, 空港, 解説・コラム — 2018年5月3日 06:00 JST

「損益分岐点は搭乗率8割」ビジネス需要も狙うインドネシア・エアアジアX、ジャカルタ-成田就航

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 インドネシア・エアアジアX(INX/XT)がジャカルタ-成田線を現地時間5月1日夜に開設し、2日に初便が成田へ到着した。ジャカルタ-成田間のLCC就航は初めてで、エアバスA330-300型機で1日1往復運航する。

 座席数はエアアジアX(XAX/D7)やタイ・エアアジアX(TAX/XJ)と同じく、2クラス377席。プレミアム・フラットベッド12席とエコノミー365席となる。

ジャカルタ-成田線を開設したインドネシア・エアアジアX=18年5月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
15%がビジネス需要
損益分岐点は8割

15%がビジネス需要

インドネシア・エアアジアXのハヌングCEO=18年5月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 インドネシア・エアアジアXは、同社初の日本路線となるデンパサール(バリ島)-成田線を、2017年5月24日に開設。週4往復で就航し、翌月から週7往復(1日1往復)に増便した。

 同社にとって2路線目の日本路線となるジャカルタ-成田線。フルサービス航空会社(FSC)では、日本航空(JAL/JL、9201)と全日本空輸(ANA/NH)、ガルーダ・インドネシア航空(GIA/GA)が同一路線を飛ばしている。

 インドネシア・エアアジアXのキャプテン・スリスティオ・ヌグロホ・ハヌングCEO(最高経営責任者)は、「日本は極めて重要な市場。ジャカルタはショッピングを楽しめ、ゴルフコースなどスポーツ施設も多い」と、日本からの渡航はビジネス需要が多いジャカルタだが、観光需要の掘り起こしも狙う。

インドネシア・エアアジアのタベリ氏=18年5月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ジャカルタを拠点にインドネシア国内線を中心に運航するインドネシア・エアアジア(AWQ/QZ)のコマーシャル・ディレクター、リファイ・タベリ氏は「ジャカルタ-成田線はユニークな存在。(旅客数の)15%がビジネス需要になるのではないか」との見通しを示す。

 LCCといえば、これまで観光需要や親族訪問が中心だった。「LCCによるジャカルタ-成田線は、新しい市場とみている。企業はコスト意識が高まっているので、12席あるビジネスクラス(プレミアム・フラットベッド)を企業にも売り込みたい」(タベリ氏)という。

 一方、2017年5月に就航したデンパサール線は、11月にバリ島のアグン山が噴火。欠航などの影響が生じた。ハヌングCEOは、「火山の影響はあったが、今年1-3月期の搭乗率は平均72%だった」と説明する。

損益分岐点は8割

成田空港を出発するインドネシア・エアアジアXのジャカルタ行き初便XT408便=18年5月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアアジアグループでは、エアアジアXが2017年6月に関西-ホノルル線を、今年4月からはタイ・エアアジアXがバンコク(ドンムアン)-札幌(新千歳)線を開設するなど、中距離路線で日本に攻勢をかける。

 デンパサール線の搭乗率が7割台である現状に対し、ジャカルタ-成田線は8割を見込む。しかし、180席のエアバスA320型機であれば80%の搭乗率で、空席は36席にとどまるが、A330であれば75席に増える。原油価格が上昇基調にある中、損益分岐点はどの程度の搭乗率を見込んでいるのだろうか。

 タベリ氏は「航空会社のビジネス自体がリスキーだ。原油価格高騰も、リスク要因になる」として上で、「ジャカルタ-成田線の搭乗率80%という設定は、控えめな数字。就航したばかりなのでこのような目標にした。デンパサール-成田線を見ても、火山噴火の問題があったものの、業績は徐々に良くなっている。現状は80%の搭乗率でブレークイーブンとみている」と語った。

インドネシア・エアアジアXのプレミアム・フラットベッド=17年5月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアアジアグループが運航する中型機A330のエコノミークラスは、1列3-3-3席配列を採用。他社のA330は2-4-2席が主流で、1列9席は大型機であるボーイング777型機並みの座席数だ。また、個人用モニターをはじめとするIFE(機内エンターテインメント)システムを積んでいないため、他社の機材よりも重量が軽い。こうした要素も、80%の搭乗率で損益分岐点に達する要因の一つとみられる。

 成田以外の新路線について、ハヌングCEOは「まずは成田線で需要を創出し、東京以外の就航地も検討していきたい」と慎重な姿勢を示す。一方で、グループCEOのトニー・フェルナンデス氏が3月に来日した際、中部-ホノルル線開設の可能性を示唆するなど、グループとして日本市場へ攻勢をかけている。

 ビジネス需要も見込めるとするジャカルタ-成田線の開設で、日本を発着する中距離国際線は、LCCとFSCの競争が本格化すると言えそうだ。

運航スケジュール
XT407 ジャカルタ(23:50)→成田(翌日09:10)運航日:毎日
XT408 成田(11:30)→ジャカルタ(17:20)運航日:毎日

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