エアライン, 企業, 空港, 解説・コラム — 2014年8月24日 09:20 JST

交番のように遺失物見つける「OKOBAN」 TSAロックの米社CEOインタビュー

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 お盆休みを利用して海外で休暇を過ごした人も多いだろう。特に海外旅行の場合、搭乗する便が遅延や欠航せずに運航される以外に、預け荷物がロストバゲージにならないかが心配なところ。

OKOBANのタグを貼ったiPadを手にするバーミリアCEO=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 こうした空港での遺失荷物を持ち主に返すシステムとして、旅行カバンなどにTSAロックを供給する米トラベルセントリー社は2009年8月、遺失物発見サービス「OKOBAN(オコバン)」をスタートさせた。

 OKOBANの仕組みは、カバンや携帯電話などに貼り付けるシールやタグにUID(個別認識コード)が印刷されており、このUIDを専用ウェブサイトで入力し、持ち主の名前や連絡先、品物の概要を登録する。空港などで遺失物を発見した人が、UIDをOKOBANのサイトで入力すると、持ち主にEメールが届く仕組みだ。

 旅行カバンでOKOBANのタグが貼られたものや、タグを購入してカバンやスマートフォンなどに貼り付ければ、利用料はかからない。

 先ごろ来日した同社のジョン・バーミリアCEO(最高経営責任者)は、空港で遺失物担当者が利用することを想定している。バーミリアCEOはIATA(国際航空運送協会)で手荷物関連の業務に携わるなど、自身の経験からTSAロックなどを生み出してきた。OKOBANも、遺失物をより多くの持ち主に返すことができる仕組みが構築できればと考えて始めたという。

 名称のOKOBANは、日本の交番が由来だ。バーミリアCEOは「交番というすばらしく、完璧なシステムが日本にはある。交番に敬意を表して“お交番”と名付けた」と説明する。

 現在このサービスは世界2200以上の空港、400以上の航空会社で採用されている手荷物捜索システムとリンクしている。日本での展開については、サービスに対する利用者の目が厳しいことから選んだという。

 空港では、担当者が遺失物捜索の際にOKOBANのシステムで検索できるようになっている。一方で、空港以外では遺失物を見つけた人が、OKOBANのウェブサイトにアクセスする必要がある。

 「消費者や旅行用品の販売店、遺失物捜索の事務所などに、OKOBANを知ってもらう必要がある」と今後のPRが不可欠だとバーミリアCEOは話す。「JRなど鉄道会社へも導入を働きかけている」といい、鉄道やバス、タクシーなど航空以外の交通インフラでも、普及を目指していきたいと展望を述べた。

 OKOBANが普及すれば、旅行カバン以外にもスマートフォンやノートパソコン、デジタルカメラなどにOKOBANのタグを貼ることで、電車やタクシーで忘れものをした際、持ち主捜しに利用される可能性があるという。

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OKOBAN

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7段落目と8段落目の冒頭を修正しました。(2014年8月25日 2:05 JST)

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