エアライン, 機体, 解説・コラム — 2014年3月18日 12:40 JST

JAL、新非常救難訓練センター公開 よりリアルな訓練実現

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 日本航空(JAL、9201)は3月17日、運航乗務員や客室乗務員が非常時の救難訓練を受ける非常救難訓練センターの新施設を、報道関係者に公開した。20日から訓練を開始する。

777のモックアップからシューターで脱出するJALの教官ら=3月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

非常扉に設けられた液晶モニター=3月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 同センターは、これまで羽田の旧整備場地区にあったが、稼働から35年が経過したため、老朽化対策と新整備場地区施設の余剰スペースを有効活用するため、新整備場地区の新施設に移転した。専有面積は旧施設の3430平方メートルから2180平方メートルと、約63%に縮小。海上脱出訓練を行うプールも、旧施設では20メートル×20メートルだったが、新施設は12メートル×10メートルと小さくなった。

 新施設は、従来ボーイング747-400型機のフライトシミュレーターがあった場所に、777-300のモックアップなどを設置。737、747、767、777、787各機種のドアを再現した「ドアトレーナー」も、新施設に移された。

 地上からの高さ4.2メートルで作られた777-300のモックアップは、左側が脱出用スライドでの訓練用、右側は救命いかだによる海上脱出訓練が行える。非常口ドアの窓には、液晶パネルを埋め込み、火災など事故発生の状況を示すことができるようにした。従来は写真を使っていたが、操作盤でさまざまな訓練状況を作り出すと同時に表示が変わるようになった。

787のドアトレーナーで訓練を再現するJALの教官=3月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室座席下には重低音を強調するウーハースピーカーを設置し、よりリアルな音響効果による緊急事態を作り出せるようにした。また、乗務員間の会話をイヤホンでモニタリングできるようにし、訓練に参加する全員が進捗状況を把握できるようにした。

 17日は、空港に着陸して駐機場に到着後、火災が発生したことを想定した訓練を、教官らが777のモックアップで再現。煙が充満する中、手際よく機外へ脱出した。

 また、機材の多頻度小型化で近年増加している737-800のモックアップも新たに設置。737のモックアップは地上高2.6メートルで作られており、777のモックアップとは脱出用スライドの傾斜角度が異なる。こうした小型機の特徴も訓練時に体験できるのが、新施設の特徴となっている。

 新施設は、JALとJALエクスプレス(JEX)の運航乗務員約1700人と、客室乗務員約6000人が使用する。教官を務める運航訓練部救難保安訓練グループの後藤公孝グループ長は、「全員参加型で、チームワークを重視した訓練ができる施設を作った」と述べ、これまでなかった空調が効いた施設で、訓練品質の向上が図れると話した。

新施設に設けられた777のモックアップ=3月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

777のモックアップ右側に設けられたプール=3月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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