大韓航空(KAL/KE)の崔晶皓(チェ・ジョンホ)副社長は現地時間11月27日、アシアナ航空(AAR/OZ)と進行中の企業統合について、2026年末に新体制へ移行させる意向を明らかにした。統合後は大韓航空へ一本化し、両社の機材や人員を削減せず、現状のまま活用するという。また統合により3社となった傘下LCCも、大韓航空系のジンエアー(JNA/LJ)に一本化する。

アシアナ航空(奥)を統合し新体制へ移行する大韓航空=25年11月27日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire
大韓航空はボーイング787型機や747、エアバスA330型機、A380など9機種計164機を、アシアナ航空はA380のほかA350、A321など5機種計68機を保有する。両社共通で運航する機材はA321neoとA330-300、A350-900、A380、777-200ERの5機種となる。ソウル・金浦空港近くにある同社の本社で取材に応じた崔副社長は、統合後の機材計画について「アシアナが保有する機材は、われわれ(大韓航空)も必要なもの。機材は有効活用したい」との見通しを示した。
両社はドル箱路線のソウル(金浦)-羽田線を含め、多くの国際線で就航地が重複している。崔副社長は両社の戦略について、韓国の国内が広くないことから国際線が主力になるとした上で、狙っている就航地が「重複するのは自然」と説明。統合後は収益性の向上が見込めない路線は運休を計画するものの、多くの重複路線はスケジュール調整し、利便性を高めていくという。また従業員も削減せず、現状の機材と人員を有効活用していく。
LCCは大韓航空がジンエアーを、アシアナ航空がソウル(仁川)を拠点とするエアソウル(ASV/RS)と、釜山を拠点とするエアプサン(ABL/BX)の2社を、それぞれ傘下に収めている。大韓・アシアナ両社の統合によりアシアナ傘下の2社も大韓航空系列となり、現在はLCCが3社混在している。崔副社長はLCCをジンエアーに一本化するとし、「ソウルと釜山の2都市をうまく活用していく」と述べた。
大韓航空を傘下に持つ韓進(ハンジン)グループは、アシアナ航空の買収を2020年11月16日に決議。2021年1月14日に韓国公取委へ企業結合を届け出て、統合へ必要な14カ国・地域での競争法上の審査を2024年11月に終了した。その後12月にアシアナの株式を取得し子会社化。新しいCI(コーポレートアイデンティティ)を今年3月11日に発表し、1984年以来41年ぶりに新ロゴを導入したほか、機体デザインも刷新した。
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