国土交通省関東運輸局は、羽田エアポートライン(東京・大田区)と東急電鉄(東京・渋谷区)の2社が申請した「速達性向上計画」を10月3日付で認定した。蒲田駅と京急蒲田駅間を結ぶ「新空港線(蒲蒲線)」により、都心までの所要時間を短縮する。運行開始は2038年から始まる令和20年代前半を計画する。

国交省関東運輸局から新空港線計画の認定を受けた羽田エアポートライン(同社ウェブサイトから)
認定された速達性向上計画は、東急多摩川線矢口渡駅から東急蒲田駅を経由し京急蒲田駅付近までの「1期整備」。矢口渡駅と東急蒲田駅の間で地下に入り、蒲田駅までの900メートルを地下化し、蒲田地下駅と京急蒲田駅地下の蒲田新駅の間800メートルを新設する。新空港線は多摩川線と直通運転する。
都心方面へは東急東横線から乗り入れ、途中の多摩川駅から多摩川線に入り蒲田新駅までを結ぶ。東横線から乗り入れる列車が停車できるよう、多摩川駅と多摩川線下丸子駅にホームを整備する。線路幅は東急線と同じ1067ミリの狭軌で、車両編成は3両と8両。新空港線の運行頻度は、朝のピーク時が1時間あたり20本程度、そのほかの時間帯は同10本程度を計画する。
整備後は、都心方面と蒲田新駅間の所要時間を短縮する。中目黒駅からは現行の約36分を13分短縮し約23分に、自由が丘駅からは約37分かかっているが、整備後は22分短縮し約15分で到着できるようになる。

新空港線「1期整備」の概要(大田区のウェブサイトから)
新空港線は羽田エアポートラインが整備・保有し、東急が使用して営業する計画。10月から整備を始め、残工事を含め2042年3月に完了する見通し。総事業費は約1248億円となる。
新線を整備・保有する羽田エアポートラインは2022年10月14日に設立。大田区と東急電鉄が出資する第3セクターで、資本金2億9500万円のうち区は61%にあたる1億8000万円を、東急は39%にあたる1億1500万円を出資した。
「2期整備」は、地下の蒲田新駅と京浜急行空港線をつなげ、糀谷駅と大鳥居駅の間から地上に出る計画だ。京急の線路幅は1435ミリの標準軌を採用していることから、新空港線と京急の空港線はそのままでは乗り入れることができない。このため、線路幅が異なる路線間の直通運転ができる「フリーゲージトレイン」や、線路を3本使用し幅の違う鉄道を直通させる「三線軌条」、駅での対面乗り換えなど、技術面・採算面を含め検討していく。

新空港線「1期整備」と「2期整備」の概要(大田区のウェブサイトから)

新空港線を含む都心付近の路線図(羽田エアポートラインのウェブサイトから)

新空港線「1期整備」に付随する既存路線の整備概要(東急電鉄提供)
関連リンク
関東運輸局
東急電鉄
羽田エアポートライン
新空港線(蒲蒲線) メインページ(大田区)
JR東は羽田アクセス線
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