全日本空輸(ANA/NH)は、国内のAIスタートアップ企業BlueWX(ブルーウェックス、港区)が開発した高精度乱気流予測システムを7月28日から正式導入した。AI(深層学習)を活用し、複雑な気象情報とパイロットの報告を学習させることで、乱気流発生の特徴を捉える仕組みで、日本上空モデルでは正答率86%を達成している。

ANAが導入した乱気流予測システム(同社提供)
このシステムは、ANAホールディングス(ANAHD、9202)と慶應義塾大学の共同研究として2019年に始動。成果を基に、2023年7月に設立された慶應発ベンチャーであるBlueWXが提供している。開発過程では、ANAグループ所属のパイロット2500人以上を対象に評価を4年間行い、予測精度と信頼性を高めた。世界の航空会社から収集した乱気流データも加えて改良し、国際市場向けのモデルに仕上げた。
従来の予測手法が定型的な指標に依存していたのに対し、新システムは膨大な気象データと、過去10年以上にわたる数万件の報告情報を解析。予測が難しかった現象も精度高く捉えられるようになった。BlueWXは、国内外の航空会社への販売を開始している。

乱気流の従来予測とBlueBlueWX予測(ANA提供)
