エアライン, 空港, 解説・コラム — 2024年5月9日 18:15 JST

「働く女性像はやはり母」JAL、母娘CAがレストランで接客 成田・御料鶴

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 日本航空(JAL/JL、9201)のグループ会社が成田空港近くで運営する古民家風レストラン「DINING PORT 御料鶴(ごりょうかく)」で、JALグループの制服スタッフが6月28日まで接客している。全員がボランティアで、参加者の中にはJALの客室乗務員、親泊昌代さんと真子さん親子の姿があった。

成田空港近くの御料鶴で親子ボランティアに参加するJAL客室乗務員の親泊昌代さん(左)と真子さん=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 母の昌代さんはまもなく定年、娘の真子さんは2020年4月入社で、入社と共に最初の緊急事態宣言を迎えた。これまで一緒にフライトしたことはなく、御料鶴での接客が初の“親子フライト”になった。しかし、真子さんは就職活動を始めた際、客室乗務員になるつもりはなかったという。

—記事の概要—
CAの接客好評
「幼いころはさみしかった」
最後は娘と一緒に

CAの接客好評

 御料鶴はグループ会社のJAL Agriport(JALアグリポート、成田市)が運営。新型コロナの影響でフライトが激減した際は、制服を着用した客室乗務員が接客した期間があった。店の利用者にも客室乗務員たちにも好評だったことから、今回は空港で働く仕事の魅力や、やりがいを発信する「お仕事紹介し隊」として、パイロットや整備士、グランドスタッフなども参加して、4月28日からスタートし、ゴールデンウイーク明けの5月8日からは平日に実施している。

成田空港近くの御料鶴で親子ボランティアに参加するJAL客室乗務員の親泊昌代さん(右)と真子さん=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボランティアの募集を知ったのは母の昌代さんで、娘の真子さんを誘い、店に立つ日は5月9日に決まった。客室の責任者「先任客室乗務員」の資格を持つ昌代さんは、現在は客室業務部の創造戦略グループでマネジャーを務めており、御料鶴をはじめとするJALの非航空系事業や出向中の客室乗務員をサポートしつつ、今年の初日の出フライトにも乗務した。

 英語が好きで、サービス業向きだと感じていた昌代さんは、学生時代から客室乗務員を目指した。一方、幼少期に母親が家にいない寂しさの記憶が残る真子さんは当初、客室乗務員になるつもりはなかったという。そうした娘の気持ちを知る昌代さんは、せっかく同じ道に進んだからと真子さんを誘い、定年を前に親子で御料鶴のボランティアに参加した。

「幼いころはさみしかった」

 「幼いころは寂しかったです」と、真子さんには母親が仕事で家にいない記憶が強く残っていた。「将来子供ができた時に、寂しい思いをするのは自分が一番わかっているので、自分がなることはないだろう、と思っていました」と、就職活動で当初、ほかの業種を受けて内定も獲得していた。

「幼いころは寂しかった」と話すJAL客室乗務員の親泊真子さん(右)と母の昌代さん=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ある日、自分が企業で働く姿を想像した真子さんは「私にとっての働く女性像は、やはり母なんですね。いつも楽しそうに仕事をしている母の姿を見て、客室乗務員に挑戦したいと応募しました」と、母と同じ道を歩んでみようと急転換した。

 昌代さんは「ギリギリでエントリーしたので驚きました。受かるはずがない、と思っていました」と、突然の進路変更に戸惑いつつも、娘の就職活動を見守り、ともに喜んだ。

最後は娘と一緒に

 2人とも制服を着て接客するのは今回が初めて。しかし、昌代さんが仕事先から羽田へ戻る際、真子さんが乗務する便に偶然乗ったことがあったという。乗客と客室乗務員として、2人とも同じ便に乗ることを知ったのは前日ぐらいだったといい、真子さんは緊張しながらも無事“先輩”が乗るフライトを終えた。「所作については幼いころから厳しかったです」という真子さんだが、普段と変わらないサービスを心掛けた。

御料鶴で接客するJAL客室乗務員の親泊昌代さん=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 「まだ娘が乗務し始めて2年目くらいだったと思います。親ばかかもしれませんが、とても楽しそうに仕事をしている姿を見て安心しました。いきいきと仕事をしているのが一番うれしいです」と、同じ道を歩むことになった“後輩”の姿に目を細めた。

 定年を控えた昌代さんは、娘と一緒にボランティアをやってみたいという気持ちに加えて、新人時代から長らく働く場であった成田への愛着がきっかけだった。

 1985年に入社した昌代さんは「飛び始めたころは成田がメインでお世話になり、お祭りでおみこしも担ぎました」と振り返る。「最後は娘と一緒に、限られた時間でもお役に立てればと思い、娘に言ったらぜひやりたい、と言ってくれました」と、母と娘による一日限りのボランティアが実現した。

 御料鶴は午前11時に開店。来店した人たちと楽しそうに話す母の姿を見た真子さんは、家でのリラックスした昌代さんとは違う、接客のプロとして店に立つ母の背中から学んでいた。

御料鶴のメニュー「御料鶴小鉢膳」=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

御料鶴のメニュー「季節の野菜プレート」=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

御料鶴の玄関から手を振るJAL客室乗務員の親泊昌代さん(左)と真子さん=24年5月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
DINING PORT 御料鶴
JAL Agriport
日本航空

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