全日本空輸(ANA/NH)と、冷凍の宅配弁当を製造・販売するナッシュ(nosh、大阪市)の2社は11月21日、空輸を活用した冷凍食品の輸送ネットワークを新たに構築したと発表した。大阪から北海道まで保冷コンテナを使って一貫輸送し、輸送時間の短縮や高品質な輸送を提供する。また空輸を活用することで、物流の輸送能力が不足する「2024年問題」の課題解決も目指したい考え。

保冷コンテナでナッシュの冷凍弁当の一貫輸送を開始したANA(同社提供)
今回の取り組みでは、兵庫・尼崎市にあるナッシュの工場で弁当を製造し、大阪市内の物流センターへ配送。センターの仕分け場で保冷コンテナに搭載し、伊丹発札幌(新千歳)行きで空輸する。札幌着後は道内の物流センターまで保冷コンテナのまま陸送し、消費者へ届ける。
11月1日に開始し、初便となった定刻午前8時30分伊丹発の札幌(新千歳)行きNH771便(ボーイング787-8型機、登録記号JA816A)で、冷凍弁当を空輸した。両社によると、輸送時間を最大2日間短縮できるという。また、北海道への送料引き下げにもつながった。
物流業界では、働き方改革関連法により2024年4月1日に施行される自動車運転業務の時間外労働の上限規制(960時間)により、トラックを中心とした輸送力の減少懸念されていることから、各社ではトラックの陸送と貨物機の空輸を組み合わせた輸送ネットワーク構築を図っている。
ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングス(9064)は、日本航空(JAL/JL、9201)と協業し、エアバスA321ceo P2F型貨物専用機を運航する。就航日は2024年4月11日を予定し、首都圏から北海道や九州、沖縄への長距離トラックによる宅急便輸送の一部を補完する計画だ。当初は成田発着で運航し、同年夏をめどに羽田空港発着でも運航する。運航はJALグループのLCCであるスプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)が担う(関連記事)。
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