空港 — 2023年3月30日 20:09 JST

成田空港新ターミナル、2タミ南側が候補地 段階的に集約、C滑走路新設後

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 成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は3月30日、現在3カ所ある旅客ターミナルを1カ所に集約する「『新しい成田空港』構想」について、中間とりまとめを公表した。2029年3月末に予定する第3滑走路(C滑走路)の新設後に段階的に集約する計画で、既存のターミナルを運用しながら段階的に集約させていく。集約時期は有識者らを交えた検討会で議論し決定する。

「『新しい成田空港』構想」で示した将来的なターミナル配置イメージ(NAAの資料から)

—記事の概要—
通常運用しながら集約
新設時期は「これから」
BとCで“1つの滑走路”に

通常運用しながら集約

「『新しい成田空港』構想」で示した段階的整備の一例(NAAの資料から)

 中間とりまとめによると、新しい旅客ターミナルは現在の第2ターミナル(T2)の南側を候補地とし整備する計画で、C滑走路新設の2029年3月末以降に2段階に分けて整備を進める。

 フェーズ1はT2南側に新ターミナルを半分整備し、T2と第3ターミナル(T3)を接続。暫定的に「ワンターミナル」とすることで乗り継ぎ利便性の向上や固定ゲートなど一部施設を共用化し、高効率な運用を目指す。フェーズ2は第1ターミナル(T1)閉鎖後の跡地に残り半分を整備し、現在のT2とT3を閉鎖。完成後はチェックインや保安検査、出入国手続きなど本館機能を集約し、分かりやすさや利便性の向上、効率性・柔軟性の向上を図る。

 NAAの田村明比古社長は「段階的な整備が1つの案として考えられる。空港は閉鎖して建設するわけにはいかない」と説明。通常の運用に支障がないように整備していくと述べた。

 新ターミナルの候補地となったT2の南側は、既存のA滑走路とB滑走路、新設するC滑走路の中間地点に位置する。田村社長は「滑走路に近いところに旅客ターミナルを置くのは運航にメリットがある。アプローチしやすいところというのが理由だ」と説明した。

 成田空港の旅客ターミナルはT1からT3まで3つあり、ターミナル間の移動には連絡バスなどを利用する。このうち最も新しいLCC専用のT3は2015年4月に供用を開始したが、日本航空(JAL/JL、9201)などが入居するT2は1992年12月から、全日本空輸(ANA/NH)が入居するT1は開港当初の1978年5月から使用している。開港から間もなく45年を迎え、一部では老朽化も目立ってきている。

 中間とりまとめによると、成田空港のコンセプトや施設配置は半世紀以上前に決定したもの。施設が分散し「非効率なレイアウト」(NAA)は旅客の利便性につながらず、航空会社にとっては非効率な運用につながっているという。ニーズの変化や施設の老朽化などが進んでいることから、大規模改修や建て替えを含めた再構築が必要な状況にある。

新設時期は「これから」

「『新しい成田空港』構想」を説明するNAAの田村社長=23年3月30日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 具体的な新設時期はいつか。田村社長によると、2023年度にまずは社内を中心に検討を進め、その後中間とりまとめ後にいったん休会となった「『新しい成田空港』構想検討会」を再開し、議論を進めていくという。検討会では「各フェーズの期間や費用のスキームなどをこれから」(田村社長)議論していく。

 検討会は学識経験者や国、県、地元市町を委員とし、2022年10月に設置。3月14日までに5回の意見交換を進めた。今回の中間取りまとめを機にいったん休会する。

BとCで“1つの滑走路”に

 新設するC滑走路は3500メートルで、既存のB滑走路の南側に整備する。またB滑走路は、現在の2500メートルから1000メートル延伸し、3500メートルとする。これにより、年間発着回数が50万回に拡大。完成は2028年度末の2029年3月31日を予定している。

 田村社長はC滑走路の運用方法について、「BとCを“1つの滑走路”と見立てて運用していく。北風の場合はCを着陸専用、Bを離陸専用に、南風の場合はCを離陸専用、Bを着陸専用にする」と説明した。

 成田空港は滑走路の新設などによる「さらなる機能強化」により、北米-東南アジア間の乗り継ぎ需要の取り込み強化を狙う。

「『新しい成田空港』構想」で示した新旅客ターミナルのイメージ図(NAAの資料から)

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