エアライン — 2014年8月8日 19:31 JST

ANA、バンコクにパイロット訓練会社 ノックエアなどと設立

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 ANAホールディングス(9202)は8月8日、タイのバンコクにパイロット訓練会社「パンナム・インターナショナル・フライトトレーニングセンター」を設立したと発表した。約6億円を投じ、東南アジアで旺盛な訓練需要を取り込む。

A320のフルフライトシミュレーター=12年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 タイ国際航空(THA/TG)系のLCC(低コスト航空会社)であるノックエア(NOK/DD)や、航空学科を持つタイのアサンプション大学と共同で設立。資本金は830万ドル(約8億4700億ドル)で、ANAHDはシンガポールにある同社の投資管理会社「ストラテジック・パートナー・インベストメント」を通じて75%、NOKは15%、アサンプション大学が10%を出資する。トレーニングセンターは同大学構内に設ける。

 9月中旬から事業開始予定で、当初は大学内にあるエアバスA320型機用シミュレーター1台からスタート。2015年4月にはシミュレーターを入れる上屋を増設し、既存施設と新上屋にA320用とボーイング737型機用を1台ずつ、計4台のシミュレーターを稼働させる。新上屋は最大6台のシミュレーターを設置でき、既存施設と合わせて8台まで置くことができるが、当面は4台で運用する。

 ANAHDは2013年7月、米国のパイロット訓練会社パンナム・ホールディングスと子会社の全株式を1億3950億ドル(当時のレートで約137億円)で買収。パンナムや自社のパイロット養成ノウハウを生かし、アサンプション大生やNOKのパイロット訓練を受託するほか、東南アジアのLCCなど他の航空会社からも訓練を受託する。

 年間200人程度訓練し、2016年度には7億5000万円程度の年間売上を見込む。訓練では、FAA(米国連邦航空局)と欧州のJAA(Joint Aviation Authorities)のライセンスを取得できるが、国土交通省航空局(JCAB)のものは扱わない。

 パイロットは世界的に不足しており、国内LCCでも欠航が生じる事態となった。ANAHDでは、東南アジアでのパイロットの訓練需要は日本以上に旺盛だとして、LCCを中心に同地域の訓練需要を取り込む。

 一方、日本国内も対象とする訓練会社、「パンダ・フライト・アカデミー」を2012年6月に設立。ANAHDが出資するピーチ・アビエーション(APJ/MM)などの訓練を受託している。

関連リンク
ANAホールディングス
Nok Air
Assumption University of Thailand

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