エアライン — 2017年9月7日 18:55 JST

JAL、印ビスタラと提携 コードシェアなど18年度から

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 日本航空(JAL/JL、9201)は現地時間9月7日、インドの新興航空会社ビスタラ(VSS/UK)と業務提携を結んだ。コードシェア(共同運航)を2018年度中に開始し、マイルによるサービスも準備が整い次第、2018年度以降にスタートさせる。

 成長が見込まれるインドからの訪日需要や、日本を経由してインドと米国を往来する経営者など富裕層獲得も目指す。

ニューデリーで開かれた調印式で契約書を交わしたJALの藤田副社長(中央左)とビスタラのヨオCEO=17年9月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
日本人駐在員も高評価
ワンワールド非加盟社と連携強化

日本人駐在員も高評価

調印式に出席するJALの藤田副社長(左)とビスタラのヨオCEO=17年9月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ビスタラは、印タタ・サンズとシンガポール航空(SIA/SQ)の合弁会社で、2015年1月9日に商業運航を開始。現在はインド国内線のみの運航で、デリーを拠点にムンバイやアーメダバード、ハイデラバードなど、インド国内20地点に週664便運航している。

 機材はエアバスA320の従来型(A320ceo)を13機と、A320neoを3機運航。座席数は3クラス158席で、ビジネスクラス8席とプレミアムエコノミークラス24席、エコノミークラス126席としている。

 JALによると、インド航空当局(DGCA)の最新統計では、もっとも定時運航率の高いインドの航空会社に認定されており、サービスや運航品質が高く評価されているという。

 JALとビスタラは、2015年10月20日に業務提携に向けた検討を開始すると発表。乗り継ぎやロストバゲージ(荷物紛失)などで提携するインターラインや、スルーチェックインを実施してきた。JALは現在、日本とインドを結ぶ路線として、成田−デリー線を1日1往復、ボーイング787-8型機(3クラス161席:ビジネス38席、プレミアムエコノミー35席、エコノミー88席)で運航している。

ビスタラのA320neo初号機=17年5月 PHOTO: P. Masclet, Master Films/Airbus

 今回の提携で、JALが運航する日本とデリーを結ぶ路線、日本の国内線、ビスタラが運航するインド国内線で相互のコードシェアを実施。2018年度中にスタートさせる。ビスタラとのコードシェアで、JALのインド国内就航地は、ムンバイやバンガロール、コルカタ、ハイデラバードなど最大21地点に拡大する。

 マイレージサービスも、準備ができ次第開始する計画で、2018年度以降を予定。空港のラウンジ利用も、両社で提携していく。

 JALの藤田直志副社長は「ビスタラはインドの日本人駐在員による評価も高い。新しい航空会社と提携し、将来の布石を打っていきたい」と抱負を語った。

 ビスタラのフィー・テック・ヨオCEO(最高経営責任者)は「ビスタラにとって日本は重要な市場だ」と述べ、「JALと強いパートナーシップを築いていきたい」と日本語であいさつした。

 今回の提携で、日本からインドへの渡航需要や、インドからの訪日需要、インドから日本経由で米国へ向かう需要などを、両社で協力して取り込みを強化する。米国企業ではインド人経営者や役員が増えていることから、JALはインドの富裕層獲得を進める考えだ。

ワンワールド非加盟社と連携強化

ニューデリーで開かれた調印式で提携内容を説明するJALの藤田副社長(左)とビスタラのヨオCEO=17年9月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALはこのところ、航空連合「ワンワールド」に加盟していない航空会社との提携を強化している。

 7月25日に、JALはベトナム初の民間航空会社で同国初のLCCであるベトジェット航空(VJC/VJ)を傘下に持つ、ベトジェット・アビエーション・ジョイント・ストック・カンパニーと、包括的業務提携の実施に向けて覚書を締結。2018年以降、相互にコードシェアを行うほか、マイルによるサービスなども提携対象として検討していく。今回のビスタラも、同じくワンワールドの非加盟社だ。

 JALの大西賢会長は、6月にメキシコのカンクンでAviation Wireの取材に応じた際、ワンワールドの空白地帯について「中央ヨーロッパや中国、インドにはまったく手を打てていない」と指摘。独自にパートナーを探す段階に来ていることを示唆していた。

ニューデリーで開かれた調印式でモデルプレーンを交換するJALの藤田副社長(中央左)とビスタラのヨオCEO=17年9月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 インドのナショナルフラッグキャリアであるエア・インディア(AIC/AI)は、スターアライアンスに加盟している。

 JALがワンワールドへ正式加盟したのは、10年前の2007年4月1日。それまでは各国の航空会社と個別に関係を深めていたため、現在でもアライアンスは異なりながらも、提携関係を維持している航空会社もある。

 ニューデリーで7日に開いた調印式で、JALの藤田副社長は「アライアンスに関する取り組みが変わってきており、従来の枠に収まりきらなくなっている」と分析する。

 ベトジェットやビスタラとの提携により、JALの海外戦略は相性の良いパートナーと個別に組むケースが増えつつある。ワンワールド加盟10年にして、原点回帰が進むと言えそうだ。

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