全日本空輸(ANA/NH)は、CO2(二酸化炭素)除去技術に取り組む米テキサス州の企業1PointFiveと、DAC(Direct Air Capture)技術由来の炭素除去クレジット調達契約を締結した。航空会社では世界初だという。2025年からテキサス州で稼働予定のDACプラントによる炭素除去クレジットを、ANAは3年間で3万トン以上調達する見通し。
DACは、大気中のCO2を直接回収・貯留する技術。運航上の改善や航空機の燃費向上などによる技術革新や、代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」の活用など、CO2排出量の削減策だけでは対応しきれない、残存排出を除去する手段となる。
1PointFiveは、米国のエネルギー企業オキシデンタル・ペトロリアムの子会社。DACプラントをテキサス州に建設中で、2025年に商業運転を開始する見通し。カナダのカーボン・エンジニアリングのDAC技術を使用している。
ANAは、商業運転開始後3年間で計3万トン以上の炭素除去クレジット(CDR)を調達する見込み。
ANAグループは、2050年カーボンニュートラル実現に向けたトランジション戦略で、「運航上の改善・航空機等の技術革新」「SAFの活用等航空燃料の低炭素化」「排出権取引制度の活用」「ネガティブエミッション技術の活用」の4手法を用いて脱炭素推進に取り組んでいる。DACは、ネガティブエミッション技術のひとつで、手段の多様化を進める。
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全日本空輸
1PointFive
SAF
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