IATA(国際航空運送協会)とエアバス、アクセンチュアは、企業による代替航空燃料「SAF(サフ、持続可能な航空燃料)」の環境属性証書の購入が、2030年までに100万-190万トンのSAF需要を支える可能性があるとの調査結果を公表した。2024年の推計32万3000トンの約3.1-5.9倍で、企業の参加拡大には排出削減量の会計処理の明確化や購入手続きの簡素化などが必要だとしている。

企業の証書購入購入が2030年までに100万-190万トンのSAF需要を支える可能性があるとするIATAとエアバス、アクセンチュア(IATA提供)
—記事の概要—
・SAF証書で削減効果を取引
・証書購入企業は約15%
・購入確約でSAF増産後押し
SAF証書で削減効果を取引
SAFの環境属性証書(EAc)は、SAFを使用することで得られる排出削減効果を、燃料そのものと切り離して取引するための証書。企業の出張や航空貨物輸送に伴う間接的な温室効果ガス排出量「スコープ3」への対応を想定している。
SAFの供給・使用場所と排出削減効果の帰属を切り離す「ブック・アンド・クレーム」方式の整備が必要となる。この方式が整えば、企業の出張便や貨物輸送便でSAFが直接使われていなくても、別の場所で使用されたSAFの排出削減効果を証書を通じて取得できる。一方、購入した証書による削減効果が企業の排出量算定で認められるには、明確な会計ルールが必要となる。
SAFは、従来のジェット燃料に比べて排出量を大幅に削減できる反面、価格は2-3倍と高い。2026年の世界のSAF生産量は240万トンとなる見込みで、ジェット燃料使用量全体の0.8%にとどまる。航空会社だけで生産拡大に伴う費用を負担することは難しく、企業による証書購入を通じて費用を分担することが期待されている。
証書購入企業は約15%
アクセンチュアによると、調査対象企業のうち、SAF証書を購入しているのは約15%。多くの企業は価格の低下や排出量の会計処理に関するルールの確立、購入手続きの簡素化を待っているという。証書の価格はCO2(二酸化炭素)換算の排出削減量1トン当たり150-500ドルで、企業が支払いを許容する価格は同300ドル程度だった。
企業によるSAF証書購入のうち、約53%は航空会社を通じたもので、航空会社が最大の証書供給元となっている。アクセンチュアは、航空会社が企業からSAFの追加費用を回収する仕組みを整えることで、今後の証書市場の拡大に備えられると指摘している。
調査では、企業の参加拡大に向けた課題として3点を挙げた。証書による排出削減効果が認められる明確で一貫した会計ルール、削減効果の二重計上を防ぐ透明性があり相互に連携できる追跡システム、購入手続きの簡素化で、価格の透明性向上や最低購入数量の引き下げ、契約期間の短縮が必要だとしている。
購入確約でSAF増産後押し
エアバスは、企業が排出削減効果を会計上認められるという確実性を得られれば、潜在的な購入意欲を購入の確約につなげられると指摘。生産事業者に需要を示すことで、SAFの増産やコスト低下を促せるとの見方を示した。
一方、IATAは、企業による証書購入だけでは航空業界全体が必要とするSAFの供給規模には届かないと説明。政府による継続的な支援や効果的なインセンティブ、生産能力の大幅な拡大が引き続き不可欠だとしている。
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IATA
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