エアライン, 官公庁 — 2026年10月15日 15:35 JST

TAP民営化、ルフトハンザを売却先に選定 売却後も株過半数維持=ポルトガル政府

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 ポルトガル政府は現地時間10月14日、国営のTAPポルトガル航空(TAP/TP)の民営化に向けた同社株式44.9%の売却先として、ルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)を中核とするルフトハンザグループを選定したと発表した。従業員向けに確保した最大5%の株式の取得状況により、ルフトハンザの出資比率は最大49.9%となる。政府は50.1%を維持する。取引完了には今後の契約締結や規制当局の承認が必要となる。

ポルトガル政府がTAP株の売却先に選定したルフトハンザグループ(右、資料写真)=PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
・提示額高いルフトハンザ選択
・ルフトハンザ→TAPへA350移管も
・第2段階の民営化も検討

提示額高いルフトハンザ選択

 売却先の選定では、ルフトハンザグループと、エールフランス航空(AFR/AF)とKLMオランダ航空(KLM/KL)を傘下に持つエールフランス-KLMグループが競った。政府は技術提案や契約条件、買収価格を比較し、両社の技術提案がおおむね同等だった一方、提示額が高く、条件面の不確実性が小さいルフトハンザ側を選んだ。

 ルフトハンザが提示した44.9%の基本取得価格は10億2500万ユーロ(約1815億円)で、エールフランス-KLMの8億5000万ユーロを1億7500万ユーロ上回った。政府の説明資料によると、2028年7月の取引完了を想定した試算では、価格調整と従業員向け5%相当を含む49.9%相当の総額は12億100万ユーロで、エールフランス-KLMの10億3800万ユーロより1億6300万ユーロ高い。政府はルフトハンザの提案が最大16%高いと説明している。

 エールフランス-KLMは、TAPが一定の業績条件を満たした場合に最大1億ユーロを追加で支払う提案もしていたが、全額が実現してもルフトハンザの提案額が6300万ユーロ上回る。

ルフトハンザ→TAPへA350移管も

 ルフトハンザの事業提案には、TAPのブランドやポルトガル国内の本社、リスボン空港のハブ機能を維持する方針が盛り込まれた。ポルトのフランシスコ・サ・カルネイロ空港を第2の拠点として強化し、長距離路線用の機体8機を配置する構想も示した。ポルトガル本土と島しょ部を結ぶ路線を維持し、ブラジルをはじめとする中南米路線の拡充を目指す。

 機材面では、TAPの機材規模を2035年に117機とし、その後は130機へ増やす計画を掲げた。機材投資の規模は30億から40億ユーロを見込み、2030年以降にはエアバスA350-900型機を最大8機、TAPへ移管する可能性も示している。130機への拡大は新リスボン空港の計画にも関連する将来構想で、ポルトガリア航空の機材更新も提案に含まれる。

ルフトハンザのA350-900=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 TAPはルフトハンザらが設立した航空連合「スターアライアンス」に加盟しており、同グループへの株式売却後も加盟は維持する。北大西洋路線ではルフトハンザやユナイテッド航空(UAL/UA)、エア・カナダ(ACA/AC)などが参加する共同事業「A++」への将来的な参加を想定する。政府は、TAPとルフトハンザ側を組み合わせた場合、中南米旅客市場でのシェアが20%になるとの見通しを示している。

 航空機整備事業では、TAPの整備・技術部門をルフトハンザ・テクニークの事業ネットワークに組み込む構想を示した。ポルト近郊のサンタ・マリア・ダ・フェイラでは約3億ユーロを投資し、約700人の雇用を生み出す計画で、ポルトガル中部のタンコスには軍用操縦士の訓練施設を設ける構想も盛り込まれた。

 今回の株式売却後も、ポルトガル政府はTAPの過半数を保有する。経営面では、取締役会9人のうち会長を含む5人を政府側が指名する一方、日常的な事業運営ではルフトハンザ側が中心的な役割を担うことを想定している。

第2段階の民営化も検討

 政府は今回の少数株式売却に続き、将来的にTAPの過半数を売却する第2段階の民営化も検討している。ルフトハンザの提案では、第2段階が2028年7月までに完了した場合、追加対価は13億5100万ユーロとなる。内訳は現金8億6300万ユーロと株式交換に相当する4億8800万ユーロで、政府は両段階を合わせた直接的な評価額を25億5200万ユーロとしている。ただし、第2段階の実施は決まっていない。

 ルフトハンザグループとTAPはいずれも政府の選定を歓迎する声明を発表した。ルフトハンザは政府や国有持株会社Parpública(パルプブリカ)と契約書類の最終調整を進めており、近く締結する見込み。株式取得の完了には関係当局の承認が必要となる。政府は取引完了を2028年初頭までと見込んでいる。

関連リンク
Government of the Portuguese Republic
Lufthansa Group
TAP Air Portugal

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