エアライン, 官公庁, 空港, 解説・コラム — 2026年10月9日 23:08 JST

ANAとシンガポール航空、行き帰りで使い分け 国交60年でMICE誘致強化

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 シンガポール政府観光局(STB)やシンガポール航空(SIA/SQ)などは10月8日、日本とシンガポールの外交関係樹立60周年を記念するビジネス交流イベントを都内の在日シンガポール大使館で開いた。国際会議や展示会などの誘致を通じてビジネス渡航を促す取り組みや、シンガポール航空と全日本空輸(ANA/NH)の共同事業(JV)による出張時の利便性を紹介した。

シンガポールのチャンギ空港内にある商業施設「ジュエル」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
・政観はMICE推進
・行き帰りで航空会社使い分け

政観はMICE推進

 イベントは「Japan-Singapore Business Gateway Night」と題し、シンガポール経済開発庁(EDB)と政府観光局、シンガポール航空が主催し、オン・エンチュアン大使も出席した。会場では両国の経済関係についても説明。2025年時点で日本企業5302社がシンガポールへ進出しており、東南アジアへの事業展開や地域統括拠点としての役割を紹介した。今回のイベントには、進出している日系企業も招かれていた。

MICE誘致を強化するシンガポール政府観光局=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 政府観光局は「MICE(マイス)」と呼ばれる企業などの会議、報奨旅行、国際会議、展示会の誘致に向けた支援策を説明した。世界19の海外拠点を通じて開催を支援しており、助成金のほか、現地のパートナーや会場の紹介、体験プログラムの提案などを行っている。大規模な国際会議だけでなく、企業の役員会議など小規模なイベントにも対応する。

 具体例として、日本から約2000人規模の報奨旅行を支援した事例を紹介。この旅行では、セントーサ島の施設を貸し切った企業イベントが開かれた。別の企業では、年間を通じて複数の小規模グループに分けてシンガポールを訪れる旅行を支援したという。

MICE誘致を強化するシンガポール政府観光局=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

MICE誘致を強化するシンガポール政府観光局=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

MICE誘致を強化するシンガポール政府観光局=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 受け入れ施設については、460軒を超えるホテルと7万4000室以上の客室を備えることを紹介。マリーナベイ・サンズでは、約1万5000席のライブコンサート専用アリーナや全室スイート仕様のホテルタワーを新設し、MICE施設も拡充する計画がある。

 今後のビジネス渡航の機会として、11月18日から20日に開催する「Singapore FinTech Festival 2026」や、2027年4月12日から16日の「Singapore Maritime Week 2027」なども紹介した。政府観光局は、ビジネスイベントへの参加と観光や飲食、エンターテインメントなどを組み合わせた滞在も提案した。

行き帰りで航空会社使い分け

 一方、シンガポール航空とANAは、2025年9月から日本-シンガポール間で始めたJVについて説明した。日本-シンガポール間では、東京(羽田・成田)、中部、関西、福岡の4都市から直行便を運航しており、冬季には新千歳にも約2カ月間乗り入れる。両社の対象便を共通の往復運賃で組み合わせられるようになり、往路と復路で異なる航空会社を利用できる。商談の終了時刻や帰国後の予定などに応じて、出張のスケジュールを組みやすくなる点を訴求した。

ANAとのJVによる利便性向上を訴求するシンガポール航空=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 利用例として、往路は羽田午前10時50分発、シンガポール午後5時35分着のANAが運航するNH841便、復路はシンガポール午後2時5分発、羽田午後9時40分着のシンガポール航空のSQ634便を組み合わせる旅程を紹介した。ANAの夜の出発便を待たず、午後にシンガポールを出発できる例として示した。

 また、関西からの出張例として、関西空港からシンガポール航空で出発し、帰国時はANAの羽田行きに搭乗。東京のオフィスに立ち寄った後、ANAの国内線で伊丹空港へ戻る旅程も紹介した。対象となる往復運賃では、羽田-伊丹間の国内線も含めて航空券を手配できるという。

 法人向けには、出張頻度や利用実績、企業ごとのニーズに応じたプログラムも用意する。柔軟な運賃や法人限定特典などを組み合わせるもので、超過手荷物料金の免除、空港ラウンジ利用券、空港送迎の割引などを特典例として挙げた。提供内容は企業ごとに異なる。

ANAとのJVによる利便性向上を訴求するシンガポール航空=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

11月にサービスリニューアルを発表するシンガポール航空=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

シンガポール航空とのJVによる利便性向上を訴求するANA=26年10月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 シンガポール航空は、機内サービスの刷新についても説明。全クラスで100種類を超える新規・刷新メニューを導入すると9月29日に発表しており、一部はすでに提供を始めている。11月からは、フランスのクリストフルと共同開発した食器類や新たな飲料なども順次導入する。

 さらに、客室や機内エンターテインメント、アメニティ、高速通信、地上サービスなどを含む新たな旅行体験の全体像を11月に発表予定。機内Wi-Fiについては、米SpaceXの衛星通信サービス「Starlink(スターリンク)」を2027年第1四半期からエアバスA380型機や長距離・超長距離仕様のA350-900に順次導入し、2029年末までに完了する計画も紹介した。

関連リンク
シンガポール政府観光局
シンガポール航空
全日本空輸

・ANAとシンガポール航空、共同事業9月開始 訪日客の地方送客も(25年4月17日)
・ANA、シンガポール航空と共同事業開始へ 国交省が条件付きATI認可(24年4月19日)
・ANA、シンガポール航空と提携 共同事業21年開始、ATI申請へ(20年1月31日)
・日本とシンガポール、国交50周年で交流促進 両政観で事業展開(16年1月28日)