エアバスは現地時間10月12日、米クラトス・ディフェンス&セキュリティ・ソリューションズと開発を進める無人戦闘機「U740-Valkyrie(ヴァルキリー)」が、欧州で初飛行したと発表した。有人戦闘機と連携する無人の協調型戦闘機(CCA)で、両社は2029年までに実戦投入可能なシステムを提供する計画を進めている。

欧州初飛行する無人戦闘航空機U740「ヴァルキリー」(エアバス提供)
初飛行は北欧の試験施設で実施した。滑走路を使わず、ロケットの補助で離陸し、複数の高度や速度で機動飛行を実施。最大マッハ0.8に達したほか、飛行中に任務内容を変更する試験も行い、エアバスは計画したすべての試験目標を達成したとしている。
U740は、クラトスが開発した機体にエアバスの任務システムを組み合わせ、ドイツ軍など欧州各国の軍での運用を想定している。ヴァルキリーの原型機は2019年に米国で初飛行しており、今回が機体そのものの初飛行ではない。両社は今年3月、欧州向けの2機について、エアバスがドイツのマンヒングで初飛行に向けた準備を進めていると明らかにしていた。
今後は、エアバスが開発する任務システム「MARS(マーズ)」を使った、より高度な飛行試験を進める。MARSは機体の「欧州の頭脳」と位置付けられ、ソフトウェアや任務用アプリケーション、データ、システムのハードウェアを欧州側で管理できるようにする。クラトスが開発した機体を使用しながら、ドイツなど欧州側が運用上の自律性を確保する狙いがある。
MARSはAI(人工知能)を活用し、任務を自律的に遂行したり、任務グループ全体を協調させたりするシステム。重要な意思決定には人間の監督を残す「ヒューマン・オン・ザ・ループ(human on the loop)」方式を採り、交戦規定や倫理・法的基準に従う仕組みだという。
U740の機体は全長9.1メートル、翼幅8.2メートルで、最大離陸重量は約3トン。航続距離は5000キロメートル超、実用上昇限度は4万5000フィートとなる。機体内部に兵器倉を備えるほか、主翼下にも外部搭載設備を設けている。
運用面では、無人機が単独で自律的に任務を遂行するほか、有人戦闘機「ユーロファイター」などの指揮下で危険度の高い任務に当たることを想定する。滑走路を使わないレール発射に対応する一方、通常の滑走路を使った離着陸も可能な設計としている。
エアバスの防衛宇宙部門エアバス・ディフェンス・アンド・スペースのマイケル・ショホローンCEO(最高経営責任者)は、空軍には費用を抑えながら一定規模の戦力を確保することが求められていると指摘。クラトスの機体と欧州側で管理できる任務システムを組み合わせることで、2020年代末までに実戦投入可能なCCAを提供できると説明した。有人戦闘機と組み合わせることで、作戦範囲の拡大や火力、生残性の向上にもつながるとしている。

欧州初飛行を控えた無人戦闘航空機U740「ヴァルキリー」(エアバス提供)

欧州初飛行を控えた無人戦闘航空機U740「ヴァルキリー」(エアバス提供)

欧州初飛行を控えた無人戦闘航空機U740「ヴァルキリー」(エアバス提供)

欧州初飛行する無人戦闘航空機U740「ヴァルキリー」(エアバス提供)
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