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新型コロナでの損失額、最大1130億ドル IATA予測、感染拡大で大幅増

 IATA(国際航空運送協会)は、中国から感染が拡大した新型コロナウイルス(COVID-19)による世界の航空会社全体の2020年損失額について、最大で1130億米ドル(約11兆6017億円)になるとの予測を現地時間3月5日に発表した。旅客数は世界全体で19%減少すると予測している。2月20に発表した損失額は293億米ドルで、患者数が現在のペースを超えて増加した場合、損失額が大幅に増えると予測している。

—記事の概要—
世界中に広がる「広範囲拡散」と現状維持の「限定拡散」
「広範囲拡散」で19%減
「限定拡散」で11%減

世界中に影響の「広範囲拡散」と現状維持の「限定拡散」

中国路線だけでなく全世界に広がる新型コロナウイルスの影響(写真は運航見合わせを伝える中国南方航空の中部空港カウンター)=20年2月12日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 3月2日時点での各国の患者数を基に算出し、発生した国別の患者数により2種類のシナリオを予測。世界中で拡散する「広範囲拡散」と、2日時点での拡散状況を維持する「限定拡散」の2種類で、広範囲拡散は患者数10人以上の26カ国、限定拡散は患者数100人以上の8カ国を中心に予測した。

 減少幅は、2002年から2003年にかけて、中国を中心に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)を基準とした。SARSでは、有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)の落ち込みのピークは発生の1カ月から3カ月後で、流行前の水準に戻るまでに6カ月から7カ月かかった。

「広範囲拡散」で19%減

 広範囲拡散では、世界全体の旅客数が19%減で、旅客収入の損失額は1130億ドルと予測。地域別で見ると、患者数10人以上の日本と豪州、中国、マレーシア、シンガポール、韓国、タイ、ベトナムのアジア太平洋地域8カ国では、旅客数が23%減、旅客収入の損失額は497億ドルとしている。8カ国を除いたアジア太平洋地域全体では旅客数が9%減、旅客収入の損失額が76億ドルと予測している。

 欧州では、オーストリアとフランス、イタリア、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スペイン、スイス、スウェーデン、英国の10カ国で、10人以上の患者が発生。10カ国の合計は、旅客数が24%減、旅客収入の損失額は373億ドルとしている。10カ国を除いた欧州全体では旅客数が9%減、旅客収入の損失額は66億ドルと予測している。

 中東では、バーレーンとイラク、イラン、クウェート、レバノン、アラブ首長国連邦の6カ国で10人以上の患者が発生。6カ国の合計では、旅客数が23%減、旅客収入の損失額が49億ドルとしている。6カ国を除いた中東全体では、旅客数が9%減、旅客収入の損失額が23億ドルと予測している。

 北米はカナダと米国の2カ国で、旅客数は10%減。旅客収入の損失額は211億ドルと予測している。

「限定拡散」で11%減

 限定拡散では、世界全体の旅客数が11%減、旅客収入の損失額は630億ドルと予測。3月2日時点で患者数が100人以上発生しているのは日本のほか、中国とシンガポール、韓国、フランス、イタリア、ドイツ、イランの計8カ国となっている。

 日本は旅客数が12%減、旅客収入の損失額が53億ドル。発生源となった中国は旅客数が23%減、旅客収入の損失額は222億ドルと予測している。シンガポールの旅客数は10%減、旅客収入の損失額は13億ドル、韓国は旅客数が14%減、旅客収入の損失額が28億ドルとしている。日中韓とシンガポールの4カ国を除くアジア太平洋全体では、旅客数は11%減、旅客収入の損失額は154億ドルと予測する。

 欧州では、イタリアの旅客数は24%減、旅客収入の損失額は50億ドル。ドイツの旅客数は10%減、旅客収入の損失額は29億ドル、フランスの旅客数は10%減、旅客収入の損失額は25億ドルと予測する。独仏伊の3カ国を除く欧州全体では、旅客数が7%減、旅客収入の損失額が92億ドルと予測している。

 中東では、イランの旅客数が16%減、旅客収入の損失額が6億ドルと予測。イランを除く中東全体では、旅客数が7%減、旅客収入の損失額が30億ドルと予測している。

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IATA [1]

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【お知らせ】
タイトルと本文の一部をYahoo! Newsに合わせました。(20年3月9日 18:27 JST)


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