- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

ピーチ、A320neoお披露目 座席間隔そのまま8席増、燃費2割改善

 ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は10月16日、冬ダイヤ初日の25日に就航させるエアバスA320neo初号機(登録記号JA201P)を関西空港で報道関係者に公開した。利用者へのお披露目は、25日の関西-札幌(新千歳)線、札幌-仙台線、仙台-関西線になる見通し。国内LCCがA320neoを運航するのは初めて。

*写真特集はこちら [1]

関空でA320neoの増席部分を紹介するピーチの客室乗務員=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ピーチのA320neoは、座席数が1クラス188席。ラバトリー(化粧室)とギャレー(厨房設備)の配置を見直すことで客室後部スペースを有効活用するエアバスの客室レイアウトオプション「Space-Flex」を採用したことで、既存のA320ceo(従来型A320)と同等のシートピッチの28インチ(71センチ)を維持しつつ、座席番号31列目6席と32列目2席の計8席を増やした。

 シートは、背もたれが15度倒れた状態で固定された独レカロ製SL3510「プレリクライニングシート」を採用。SL3510は、2019年3月に就航したA320ceoの24号機(JA824P)から採用している。また、座席番号の表示はサイズを大きくして立体化することで、視認性を高めている。

 A320neoファミリーのエンジンは、CFMインターナショナル製のエンジン「LEAP-1A」と米プラット・アンド・ホイットニー(PW)製「PW1100G-JM」の2機種から選べるが、ピーチのA320neo初号機は、LEAP-1Aを選定している。国内の航空会社では初めてLEAPエンジンを採用した。A320neoは従来のA320ceoと比べて最大約20%燃費が向上するが、そのうち15%はLEAP-1Aによる改善となる。

 航続距離も伸び、従来のA320ceoの2120海里(3926キロ)からA320neoは2730海里(5056キロ)に伸びた。関空を起点とした場合、A320ceoは中国やフィリピンまでの飛行距離だったが、シンガポールなどへ飛べるようになる。また、滑走路オーバーラン防止装置「ROPS」を新たに装備し、安全性が向上した。

関空でA320neoの初号機をお披露目するピーチの森健明CEOら=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ピーチは2016年11月にA320neoを10機発注し、2018年7月にうち2機をA321LRに変更。2019年1月29日には、ピーチの親会社であるANAホールディングス(ANAHD、9202)がA320neoを18機発注すると発表した。その後の発注変更などを経て、現在の発注数はA320neoが28機、中距離国際線などに投入予定のA321LRが6機となっている。今回のA320neo就航で、機材数は32機となる。

 2012年3月の就航時にピーチが使用していた機材は、リース期間が満了したことで2019年6月から退役が始まっており、今後は8年程度かけてA320neoに置き換えていく。ピーチの森健明CEO(最高経営責任者)は、燃費が最大20%向上する点について、「ピーチの置かれた環境に適合している」と語った。

 16日に公開したA320neoの初号機は、エアバスの最終組立工場がある仏トゥールーズから9月29日夜に関空へ到着。森CEOは「新型コロナウイルスの影響でフランスから持ってこられるかという状況だった。新しい飛行機をお客様に喜んでいただきたい」と述べた。

 ピーチは、乗客が自分のスマートフォンやタブレット端末から機内食や機内販売商品を注文できる機内デジタルサービスの導入を検討中。フライトマップや動画の視聴などもできる機内環境を準備する。

*写真は8枚。
*初便の様子はこちら [2]
*写真特集はこちら [1]

関空でピーチがお披露目したA320neo初号機=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関空でA320neo初号機をお披露目するピーチの客室乗務員=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ギャレーとラバトリーの配置を見直したことで従来と同じシートピッチで後方に8席増やしたピーチのA320neo=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ギャレーとラバトリーの配置を見直したことで従来と同じシートピッチで後方に8席増やしたピーチのA320neo=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチのA320neoのギャレー(左)とラバトリー=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチのA320neoが採用したLEAP-1A=20年10月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
ピーチ・アビエーション [3]
Airbus [4]

初便は関西発札幌行き
ピーチ、A320neo就航 燃費2割改善、リクライニング済みシート [2](20年10月25日)

写真特集・ピーチA320neo初号機
国内初採用エンジンLEAP [1]

A320neo
ピーチのA320neo、10月25日就航へ リクライニング済みシート188席 [5](20年10月1日)
ピーチのA320neo初号機、関空に到着 10月就航へ [6](20年9月29日)
ピーチ、A320neoとA321LR用エンジンにCFM製LEAP-1A採用 20年度から [7](19年6月17日)
ピーチ、リクライニング済みレカロシート公開 初シャークレット付きA320 [8](19年3月23日)
ピーチ、A320neoを18機追加導入 21年度から既存機更新 [9](19年1月29日)
ピーチ、A320neo導入 19年から10機、将来100機体制に [10](16年11月18日)

プレリクライニングシート
リクライニング済みで座り心地最適化 写真特集・ピーチ初シャークレットA320 [11](19年4月15日)
ピーチ、レカロのリクライニング済み新シート 19年導入 [12](18年4月12日)

路線
ピーチ、那覇2路線10月就航 札幌・仙台、拠点間の路線強化へ [13](20年8月31日)
ピーチ、国際線7カ月ぶり再開へ 10月から台北3路線 [14](20年9月10日)