- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

国交省、JALに業務改善勧告 客室乗務員の機内飲酒で

 国土交通省航空局(JCAB)は1月11日、日本航空(JAL/JL、9201)に業務改善勧告を行った。2018年12月に乗務中の女性客室乗務員が機内で飲酒し、アルコール検査で社内基準を超える値が検出されたことによるもの。JCABはJALに対し、1月18日にまでに報告書を提出するよう指示した。

国交省から業務改善勧告が出されたJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 客室乗務員が乗務していたのは、12月17日の成田発ホノルル行きJL786便(ボーイング787-9型機、登録記号JA874J)。JALによると、客室乗務員はギャレー(厨房設備)でプレミアムエコノミークラス用のシャンパンの小ビン(約170ミリリットル)を1本あけ、プラスチック製コップに半分ほどついで飲んだという。

 複数の同僚が客室乗務員からアルコール臭を感じたり、様子がおかしいと感じたことから、機内でアルコール検査を実施。呼気から社内基準の1リットル当たり0.1ミリグラムに対し、0.15ミリグラムのアルコール値が2回検出され、30分ほどあけた3回目の検査でも、基準値を超えた。

 客室乗務員は当初飲酒を否定していたがその後認め、2017年11月17日のホノルル発成田行きJL781便(777-200ER、JA708J)の乗務中にも飲酒していたことを認めた。

 JALは2018年5月にも、ホノルル発関西行きJL8791便(787-8、JA832J)の機内で、乗務中の20代男性客室乗務員が、ビールを飲んでいたことが発覚。JCABから6月6日に厳重注意を受けていたにもかかわらず、女性客室乗務員の飲酒問題が発生したことから、事態を重く見たJCABは、JALに行政指導ではもっとも重い業務改善勧告を行った。

 JALではパイロットの飲酒問題も発生しており、国交省は行政処分となる事業改善命令を12月21日に出している。JALはパイロットと客室乗務員の飲酒問題を合わせ、1月18日までに再発防止策を報告する。

関連リンク
国土交通省 [1]
日本航空 [2]
運航乗務員の飲酒による法令違反に関する調査経過と再発防止策について [3](JAL)

JAL客室乗務員の飲酒問題
JAL客室乗務員、乗務中の飲酒認める ギャレーでシャンパン [4](19年1月10日)
JAL、客室乗務員が機内で飲酒 昨年も疑い、本人は否定 [5](18年12月25日)
JAL、乗務中の客室乗務員からアルコール検出 [6](18年12月21日)
JALの男性CA、乗務中にビール 利用客が指摘 [7](18年6月6日)

JAL運航乗務員の飲酒問題
JAL機長、同乗機長に身代わり依頼 アルコール検査不正で懲戒処分 [8](19年1月9日)
JAL、アルコール感知機未使用163件 同一機長が7割弱、規定明記で再発防止 [9](18年12月21日)
JAL、飲酒の副操縦士を懲戒解雇 禁錮10カ月、赤坂社長ら減給 [10](18年11月30日)
JAL、逮捕の副操縦士がマウスウォッシュ使用 酒臭さ消すためか [11](18年11月19日)
JALグループ、パイロット飲酒で16件遅延 昨夏の新型検知器導入後 [12](18年11月17日)
JAL飲酒副操縦士「酒は飲んでいない。マウスウォッシュだ」 国交省に報告書と防止策提出 [13](18年11月16日)
飲酒で拘束されたJAL副操縦士、29日に判決 国交省は基準強化 [14](18年11月2日)
JAL副操縦士、英国で拘束 乗務前アルコール検査基準を大幅超過 [15](18年11月1日)

ANAの飲酒問題
ANAウイングス機長、副操縦士に口裏合わせ依頼 飲酒で虚偽報告 [16](19年1月9日)
ANAウイングス機長、飲酒で虚偽報告 規定時間後も飲み摂取上限超える [17](19年1月8日)
ANA子会社、機長飲酒で国内線5便遅延 年明けに再発 [18](19年1月3日)
ANA、アルコール検査の記録欠損406件 [19](18年12月22日)
ANA、飲酒量を明文化 ビール1リットル、国交省に対応策 [20](18年11月16日)
ANAウイングス、飲酒機長を諭旨退職 [21](18年11月9日)
ANA、子会社パイロット飲酒で5便遅延 [22](18年10月31日)
ANA、パリ支店長が酒酔いで乗客けが ワイン6杯、諭旨解雇 [23](18年10月5日)

国交省の対応
パイロットの体内アルコール濃度、英国と同基準に 国交省が中間報告 [24](19年1月7日)
国交省、JALに事業改善命令 ANAとスカイマークなど厳重注意 パイロット飲酒問題 [25](18年12月22日)
JALとANA、アルコール検知機不使用500件 パイロット飲酒問題 [26](18年12月7日)
国交省、パイロット飲酒対策会議 航空25社の社長出席、他社から学ぶ [27](18年12月5日)
国交省、JALとANAに立入検査 パイロット飲酒で [28](18年11月27日)