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空自向けKC-46、初の空中給油成功 別の同型機と燃料授受

 ボーイングは現地時間8月16日、航空自衛隊向け空中給油・輸送機KC-46Aの初号機(14-3611)が初の給油飛行に成功したと発表した。米空軍の同型機に燃料を給油し、同機から給油を受けて空中給油能力を確認した。

米空軍のKC-46A(左)に空中給油する空自向けKC-46A初号機=PHOTO: Kevin Flynn(ボーイング提供)

 KC-46Aは、旅客機の767-200ERを母機とした空中給油・輸送機。空自が同機初の海外顧客となり、年内に初納入される見通し。

 ボーイングは米空軍向けに179機の製造を計画。空自は6機を調達する予定で、これまでに4機を発注しており、鳥取県にある美保基地の第405飛行隊に配備される見込み。

 コックピットは民間機の787と同様に15インチ・ディスプレイを装備し、米空軍向けのエンジンは米プラット・アンド・ホイットニー製PW4062で、最大離陸重量は41万5000ポンド、搭載燃料は21万2299ポンド。空中給油のほか、輸送機として人員や物資、負傷者を運べる。

 給油対象は空自機のほか、米空軍と海軍、海兵隊の航空機。給油方式は、米空軍機が採用するフライングブーム方式のほか、米海軍・海兵隊機のプローブ・アンド・ドローグ方式の2形式に対応している。ブームはフライ・バイ・ワイヤ方式の最新型で、給油オペレーター席には24インチの高解像度3Dディスプレイが設置された。また、前部胴体上部には自らブーム方式で給油を受けられる給油口を備える。

 地上旋回半径は39メートルで、標準的な幅45メートルの滑走路で180度旋回が可能。ボーイングでは、離島のように小規模な飛行場にも展開できるとしている。

米空軍のKC-46A(左)に空中給油する空自向けKC-46A初号機=PHOTO: Kevin Flynn(ボーイング提供)

関連リンク
KC-46A Pegasus [1](Boeing)
U.S. Air Force [2]
防衛省 [3]
航空自衛隊 [4]
KC-46ペガサス [5](ボーイング・ジャパン)

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