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中部空港、LCCターミナル供用開始 初便は発着ともジェットスター

 中部空港(セントレア)を運営する中部国際空港会社は9月20日、LCC用第2ターミナル(T2)の供用を開始した。乗り入れるLCC 11社のうち、中部を拠点とするエアアジア・ジャパン(WAJ/DJ)とジェットスター・ジャパン(JJP/GK)の2社のほか、韓国のLCC 3社の計5社が現ターミナルから移転。初便は到着・出発とも、ジェットスター便となった。

供用を開始した中部空港のLCC専用となるターミナル2=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
犬塚社長「まだまだ余裕ある」
エアアジア、出発遅れで初便逃す
スマートレーン導入で利便性向上

犬塚社長「まだまだ余裕ある」

T2オープン1番乗りとなった男性客を迎える中部国際空港会社の犬塚社長(中)ら=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 T2は午前4時40分にオープン。中部国際空港会社の犬塚力社長らがオープン前に並んでいた10人近くの利用客を出迎え、記念品を配った。犬塚社長はオープン直後のT2について「お客さまが入っているのはいい光景。まだまだ余裕がある」と述べ、利用客拡大や入居する航空会社の獲得に向け、気を引き締めた。

 5社のT2移転に伴い、ターミナルへの分岐点となる名鉄(名古屋鉄道、9048)の中部国際空港駅前には、それぞれのターミナルを示す看板などを設置。床にはシールでそれぞれのターミナルを示したほか、天井付近にはエアアジア・ジャパンが移転をアピールする立体広告を掲出した。

 T2内の施設や設備については、エアアジア・ジャパンが空港会社と連携し、計画を進めてきた。エアアジア・ジャパンのジェニー・麻友子・若菜社長は「ピッチを上げて路線を拡大していきたい」と述べ、T2とともに会社の成長に期待を込めた。

 一番乗りとなったのは横浜市に住む航空ファンの男性で、午前3時から並んだという。男性はT2について「シンプルな作り」と印象を話した。その後、エアアジアの台北(桃園)行きDJ803便に搭乗し、4時間ほど滞在した後に別の航空会社便で成田へ帰国するという。

エアアジア、出発遅れで初便逃す

 T2への到着初便となったのは、ジェットスター・ジャパンのマニラ発GK94便(エアバスA320型機、登録記号JA24JJ)。機体は放水アーチでの歓迎を受け、定刻より2分早い午前5時28分に、78番スポット(駐機場)に到着した。

 出発初便は、定刻午前7時25分発のエアアジア・ジャパンの札幌行きDJ1便(A320、JA03DJ)となる予定だった。同便は出発時に着席しない乗客がいたため、定刻より35分遅れの午前8時に、80番スポットを出発した。

 実際の初便となったのは定刻午前7時30分発のジェットスター・ジャパンの那覇行きGK381便(A320、JA18JJ)で、定刻より8分遅れの同38分に出発した。

 国際線の出発初便はエアアジア・ジャパンの台北(桃園)行きDJ803便(A320、JA01DJ)で、定刻より4分遅れの午前7時49分に出発。国内線の到着初便はジェットスターの鹿児島発GK690便(A320、JA15JJ)で、定刻より8分遅れの午前11時18分に到着した。

スマートレーン導入で利便性向上

 現在のターミナルはT2の供用開始に伴い、「第1ターミナル(T1)」に改称した。T2はT1から300メートルの空港島南側に建設。鉄道や高速船が発着するアクセスプラザからの距離は550メートルで、2018年10月にオープンしたボーイング787型機を展示する複合商業施設「Flight of Dreams(フライト・オブ・ドリームス)」内部を経由し、約7分で着く。バスやタクシーはT2に直接乗り入れ、駐車場も近くに新設したが、アクセスプラザやT1からの連絡バスはない。

 供用開始から入居するのは5社で、国内線はエアアジアとジェットスターの2社使用する。国際線は2社に加え、エアプサン(ABL/BX)とチェジュ航空(JJA/7C)、ティーウェイ航空(TWB/TW)の韓国のLCC 3社も使用し、いずれもT1から移転する。

 チェックインや入国審査などができる本館と、利用客が乗降するサテライトの2棟で構成し、いずれも2階建てで延床面積は約4万5000平方メートルとなる。1階が到着エリア、2階が出発エリアで、LCC用ターミナルとしては国内初となる自動手荷物預け機を6台設置する。また、新型の保安検査機「スマートレーン」や高性能X線機器などの保安検査設備を導入し、利便性向上を狙う。

 スポットは71番から80番までの10カ所で、このうち国際線で固定運用するのは71番から74番までの4カ所、国内線は79番と80番の2カ所が固定となる。75番から78番までの4カ所は国内線と国際線で利用できる「スイングゲート」で、シャッターの開閉により内際で使い分ける。いずれも2階から1階に降り、搭乗橋(PBB)を利用せず、エプロンルーフ内を徒歩で進んで機体に向かう。車いす利用者はエレベーターなどを利用できる。

 このほか、バスで機側へアクセスできるゲートを内際に設ける。国際線は701番と702番、国内線は801番と802番の2カ所ずつ計4カ所を設置。ゲート数は合わせて14カ所となる。

 年間旅客数は、国際線300万人と国内線150万人の計450万人を計画。T2からは国内5都市へ1日14便、国際線は6都市へ週45便が就航する。

*写真は18枚。

T2開業に伴い名称を変更した中部空港のT1=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

名鉄中部国際空港駅前に掲出したターミナルを示す看板=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

名鉄中部国際空港駅前に掲出したエアアジア・ジャパンの立体広告=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

T2がオープンし続々と入館する利用客=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

オープン初日のT2の発着便を示すモニター=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中部空港T2到着初便となったジェットスター・ジャパンのマニラ発GK94便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中部空港T2到着初便となったジェットスター・ジャパンのマニラ発GK94便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中部空港T2到着初便を記念し放水アーチでの歓迎を受けるジェットスター・ジャパンのマニラ発GK94便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中部空港T2到着初便となったジェットスター・ジャパンのマニラ発GK94便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中部空港T2到着初便となったジェットスター・ジャパンのマニラ発GK94便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

出発初便予定だった札幌行きDJ1便の乗客へのプレゼントを手にするエアアジア・ジャパンの客室乗務員=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

出発初便予定だったエアアジア・ジャパンの札幌行きDJ1便に搭乗する乗客=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

報道各社の取材を受けるエアアジア・ジャパンの若菜社長(中)=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

出発初便予定だったエアアジア・ジャパンの札幌行きDJ1便を見送る若菜社長(中)ら=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

出発初便予定だったエアアジア・ジャパンの札幌行きDJ1便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

出発初便予定だったエアアジア・ジャパンの札幌行きDJ1便=19年9月20日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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