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ANA、アルコール検査の記録欠損406件

 全日本空輸(ANA/NH)は12月21日、パイロットが乗務前に実施するアルコール検査の記録が欠損していた事例の調査結果を明らかにした。2017年11月1日から12月6日までの検査記録約12万件の中で、約0.3%にあたる406件の記録がなかった。パイロットの飲酒問題が起きたことを受け、国土交通省航空局(JCAB)が11月下旬に行った立入検査で、記録の欠損が指摘されていた。

パイロットが乗務前に実施するアルコール検査の記録欠損が406件だったANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 406件のうち、検査の失念や実施したとの思い込み、記憶にないケースが389件でもっとも多く、乗務前に他空港で実施していた事例が7件、長期病欠や退職で調査できなかったケースが6件、代替手段で実施していた事例が4件だった。意図的に実施しないケースはゼロだった。

 ANAでは、記録が欠損した主な原因として、乗務便が急きょ変更になり、パイロットが検査を失念していたケースが大半で、検査の実施をパイロット個人の自己管理に任せていたことなどを挙げた。緊急対策として、2019年1月開始を予定していた、羽田空港でのアルコール検査の第三者確認を、12月7日に前倒しして実施しているという。

 同社では最初に件数を公表した12月6日の段階では、2017年11月1日から2018年10月31日までの1年間で393件としていたが、11月1日から12月6日までの記録欠損と合わせて406件とした。7日以降、21日までに記録欠損は起きていないとした。

 JCABは21日、ANAに対し文書による厳重注意を行った。2019年1月18日までに、再発防止策を報告させる。

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国土交通省 [1]
全日本空輸 [2]

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