日本航空(JAL/JL、9201)やENEOS(東京・千代田区)など9社は10月8日、次世代燃料の環境価値を証書として取引する「クリーン燃料証書制度」の実証事業に参画すると発表した。経済産業省の外局・資源エネルギー庁が国内での制度導入に向けて実施するもので、軽油の代替となるバイオ燃料「HVO」の環境価値を対象に、JALなどが証書の活用方法や制度運用上の課題を検証する。

「クリーン燃料証書制度」の実証事業に参画するJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
クリーン燃料証書制度は、バイオ燃料などが持つ環境価値を認証し、燃料そのものと切り離して証書として取引する仕組み。燃料は環境価値を切り離した状態で使用される一方、別の企業がその環境価値を証書として購入できるようにする。次世代燃料用の専用設備を持たない企業や、燃料の供給地から離れた企業も、証書を活用して脱炭素化に取り組める制度を目指す。
実証では、ENEOSがバイオ燃料「HVO(水素化処理植物油)」の輸入と環境価値証書の提供を担う。JALのほか、NTTドコモ(東京・千代田区)、鹿島建設(1812)、清水建設(1803)、鶴見サンマリン(東京・港区)、T2(東京・千代田区)、東急建設(1720)、NIPPO(東京・中央区)の8社が需要家企業として参加し、証書の活用や制度の課題を検証する。トヨタ自動車(7203)を含む複数の企業も需要家として参画する。

ENEOSが構築したHVO輸入のサプライチェーン(同社資料から)
HVOは、廃食油などの油脂を水素化処理して製造する次世代型のバイオ燃料で、「リニューアブルディーゼル(RD)」とも呼ばれる。軽油に近い特性を持ち、既存燃料の代わりに使用できる。従来燃料と比較し、ライフサイクル全体で60-80%程度の脱炭素効果があるとされる。SAF(サフ、持続可能な航空燃料)と同時に製造される燃料で、今回の実証ではHVOの環境価値を扱う。
ENEOSは、横浜市の根岸製油所にHVOを輸入済み。同製油所の既存タンクで受け入れ、従来の燃料と混合して出荷できるという。環境価値は帳簿上で管理し、証書として需要家へ提供する仕組みを整える。
JALは2024年4月から、SAFの使用によるCO2(二酸化炭素)削減の環境価値を証書化し、JAL便を利用する法人向けに販売する事業を展開している(関連記事 [1])。今回の実証では、HVOの環境価値証書を活用する需要家企業として参加する。
経産省が示した制度発展の構想では、2026年末をめどに本格稼働の是非を検討する。将来的には、温室効果ガス排出量の算定・報告などに関する国内のSHK制度や、国際的な算定基準「GHGプロトコル」などへの対応も検討する。
関連リンク
日本航空 [2]
JAL Corporate SAF Program [3]
資源エネルギー庁 [4]
ENEOS [5]
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