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A320改修、世界で大多数完了 6000機対象も残り100機未満

 エアバスは現地時間12月1日、A320ファミリー(系列)の一部機体に求めていた予防的措置について、対象となった約6000機のうち大多数の改修作業が完了し、残りは100機未満になったと発表した。日本の航空会社は、11月30日までに作業を終えている。

約6000機が対象になるも大多数の作業が終わったエアバスのA320ファミリー。写真はA321neoの飛行試験機=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 この予防的措置は、同社が11月28日に発行したAOT(運航者向け警告伝達)「A27N022-25」に基づき、A320系列の一部機体に対し、即時対応を求めたもの。対象機は、飛行制御コンピューター「ELAC(エレベーター・エルロン・コンピューター)」の「L104」を搭載しており、太陽フレアに伴う宇宙線によりデータの破損につながる恐れがあると判明し、「L103+」へバージョンを下げるソフトウェア更新作業を実施するよう求めている。

 EASA(欧州航空安全庁)はこれを受け、EAD(緊急耐空性改善命令)「2025-0268-E」を発出した。A318を除く全機種のうち、合わせて約6000機が対象になった。エアバスによると、10月末時点で運航中のA320系列の機体は世界で1万1293機。うち新型エンジンを搭載する「neo」は4220機で内訳はA320neoが2286機、長胴型のA321neoが1896機、短胴型のA319neoが38機となり、従来型「ceo」は7073機で内訳はA320ceoが4154機、A321ceoが1697機、A319ceoが1222機となっている。

 日本国内の航空会社は、11月30日までに対応を完了。全日本空輸(ANA/NH)は、運航する37機中34機が対象となったことから、29日と30日の2日間で国内線101便が欠航し、約1万3730人に影響が及んだ。

 同じくANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下でLCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)は、全37機のうち作業が数機にとどまったことなどで欠航は発生しなかった。また、22機のうち15機が対象になったジェットスター・ジャパン(JJP/GK)や、11機運航するスターフライヤー(SFJ/7G、9206)も、整備作業に伴う欠航はなかった。

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