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JAC機長、飲酒規定内でも4便遅延 自宅で350ml缶ビール2本

 日本エアコミューター(JAC/JC)は12月5日、飲酒による機長交代の影響で、11月28日に4便に遅延が生じたことについて、国土交通省の大阪航空局に調査結果と再発防止策を提出した。

機長の飲酒で遅延が生じたJAC=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機長交代が生じたのは、28日の鹿児島発屋久島行きJC3741便(ボンバルディアQ400型機、登録番号JA851C)。JACによると、機長が鹿児島空港内のオフィスへ出社時に実施したアルコール検査で、制限値の0.1ミリグラム/リットルに対し、これを超える0.2ミリグラム/リットルが検出されたという。このため、機長の交代が発生し、鹿児島を午前8時50分に出発予定だったJC3741便は、乗客16人と乗員4人(機長1人、副操縦士1人、客室乗務員2人)を乗せ、1時間遅れの午前9時50分に出発した。この影響で、当該機を使用予定だった3便にも遅延が生じた。

 JACが機長に聞き取り調査したところ、勤務前日の午後7時ごろまでに、自宅で350ミリリットルの缶ビールを2本を飲んでいたという。社内規定では乗務開始12時間前までは飲酒が可能で、機長の場合は27日午後8時50分までは可能だったという。

 また、飲酒量は規定に定められていないが、500ミリリットルの缶ビール2本でもアルコール量の制限は超えないという。機長に対しては、規定に定められた「12時間以前であっても乗務に支障を及ぼす飲酒をしてはならない」に抵触したことから、当面の間は乗務停止とする処分が即日下された。最終的な処分は、検査中の血液検査結果を待ち、就業規則などに則って判断するという。

 今後の対策として、パイロットが乗務前の呼気検査で、0.1ミリグラム/リットル以上が感知されること自体が規程違反であることを明確にするなど、アルコールに関する規定の制定と厳格な運用を行うほか、アルコールに関する教育の徹底、パイロットのストレスや健康状態などの個別ケアなどを行う。

関連リンク
日本エアコミューター [1]
国土交通省 [2]
運航乗務員の飲酒による法令違反に関する調査経過と再発防止策について [3](JAL)
日本航空 [4]

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