- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

777X、初納入さらに遅延 オルトバーグCEO「作業山ほどある」ANAも発注

 ボーイングのケリー・オルトバーグ会長兼CEO(最高経営責任者)は現地時間9月11日(日本時間12日未明)、開発中の大型機777-9(777X)の納入開始がさらに遅れるとの見方を示した。これまで2026年6月以降の引き渡し開始を計画していたが、今後の開発状況により、2027年にずれ込む可能性も出てきた。

初納入がさらに遅れる777-9=22年7月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 777-300ERとなる777Xは、当初2020年に初納入を予定していたが、開発遅延で納期が遅れ、最新の計画では最初に受領するルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)へ2026年半ばごろに引き渡す予定だった。

 オルトバーグ氏は、モルガン・スタンレー証券が11日に開いた投資家向け会議で、「試験飛行で新たな技術的課題は見つかっていないが、認証までにやらなければならない作業が山ほどある」と、777Xの開発状況を説明。すでに6年の納入遅延が生じているが、現在のスケジュールを維持することは困難との見方を示した。

 一方、製造国の当局が機体の安全性を証明する「型式証明」の取得時期が、2027年にずれ込むかについては明言を避けた。現在は顧客へ引き渡す予定の量産機も含め、5機の飛行試験機でテストを続けている。

パリ航空ショーで飛行展示を披露するボーイング777X=23年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーで公開された777-9飛行試験機の折りたたみ式の翼端=23年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーで公開された777-9飛行試験機のコックピット=23年6月18日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 777Xは、メーカー標準座席数が2クラス395席の777-8と426席の777-9の旅客型2機種に加え、構造上の最大搭載重量118トン、有償搭載重量(ペイロード)112トンの貨物型777-8Fの計3機種で構成。777-9から開発が進められている。

 日本の製造分担割合は、777と同じ主要構造部位の約21%で、担当部位も777を基本的に踏襲。三菱重工業(7011)が後部と尾部胴体、乗降扉を、川崎重工業(7012)が前部と中部胴体、主脚格納部、貨物扉を、SUBARU(7270)が中央翼、中央翼と主脚格納部の結合、主脚扉、翼胴フェアリング(前部)を、新明和工業(7224)が翼胴フェアリング(中・後部)を、日本飛行機が主翼構成品の製造を担当する。

 8月31日時点の受注残は565機。日本では全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が777-9を18機、777-8Fを2機発注済み。ANAへの引き渡し時期も不透明で、2026年度は2機の受領を計画していたが、未受領を想定して事業計画を立てている。ルフトハンザ ドイツ航空やシンガポール航空(SIA/SQ)など、納入第1陣となる航空会社へ引き渡し後、ANAへの納入が始まるとみられる。



【4K】Boeing 777X 試験機の機内【パリ航空ショー】

関連リンク
Boeing [1]
ボーイング・ジャパン [2]

777X
777X試験機、全5機が初の同時稼働 26年の初納入目指す [3](25年8月21日)
777X、5号機が初飛行 5年ぶり新造機 [4](25年8月8日)
キャセイパシフィック航空、777Xを追加発注 アジア太平洋最大の導入数に [5](25年8月6日)
777-8F貨物機、エバレットで製造開始 ANAも発注 [6](25年7月22日)
777X、受領時期は依然不透明 ANA井上社長「Who knows?」 [7](25年6月2日)
777X、試験4号機がフライト 唯一の客室試験機 [8](25年5月11日)
ANA、777X受領26年度に ボーイング納入遅延で25年度機材見直し [9](25年2月3日)
ボーイング、従業員10%削減 777Xは26年に納入延期、767Fは27年生産完了 [10](24年10月12日)

777X試験機の機内動画(YouTube Aviation Wireチャンネル [11]
【4K】Boeing 777X 試験機の機内【パリ航空ショー】 [12]

777X 写真特集
777Xコックピットは大型画面並ぶ [13]
777X、急上昇・急旋回させダイナミックな飛行展示披露=ファンボロー航空ショー [14]