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最後のジャンボ、シアトル離陸し”747″描く 放水アーチで門出祝う

 「ジャンボ」の愛称で親しまれたボーイング747型機の最終号機(747-8F、登録記号N863GT)が現地時間2月1日午前8時19分(日本時間2日午前1時19分)すぎ、米ワシントン州シアトル近郊のエバレット工場に隣接するペインフィールド空港から離陸した。アトラス・エア・ワールドワイド傘下のアトラスエアー(GTI/5Y)が運航する747で、オハイオ州シンシナティへ向かった。出発後1時間ほどすると、モーゼスレイク上空から「747」と描きながら飛行し、50年以上製造された同機最後のデリバリーフライトを祝った。

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 世界初の双通路機である747は、56年前の1967年に製造を開始し、1968年9月30日に最初の機体がロールアウト。1969年2月9日に初の試験飛行を実施した。「ジャンボ」や「空の女王」といった愛称で親しまれ、55年間で100以上の顧客向けに1574機が製造された。総飛行時間は1億1800万時間以上、飛行サイクルは約2300万回に及ぶ。

 もっとも多くの747を運航したのは日本航空(JAL/JL、9201)で総数113機に達し、1月31日にエバレット工場で開かれた式典には、赤坂祐二社長が招かれた。

 最終号機となったアトラスエアーのN863GTには、747生みの親で2016年8月30日に96歳で生涯を終えたボーイングのエンジニア、ジョー・サッター氏のイラストが機体前方右側に描かれ、敬意を示した。

放水アーチをくぐりエバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスする最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

アトラスエアーの747-8Fによるデリバリーフライトの航跡(flightradar24.comから)

 747の前身は、米空軍の大型輸送機計画「CX-HLS」で、ロッキード(現ロッキード・マーチン)案が選定されてC-5「ギャラクシー」となった。一方、ボーイングは747に発展させ、旅客機と貨物機を製造。56年に及ぶ生産で、最後の1機はルーツとも言える貨物機となった。

 アトラスエアーなどを傘下に持つアトラス・エア・ワールドワイドは、2021年1月12日に747-8Fを4機発注したと発表。この時点で2022年の生産完了が予定されており、エバレットの最終組立工場で製造される最後の4機となった。アトラスは通販やエクスプレス貨物の需要拡大に対応するために導入する。

 1日にエバレット工場を出発する際は、消防車による放水アーチの歓迎を受け、多くの従業員らが見送った。デリバリーフライトの便名は5Y747便と名づけられ、午前7時50分すぎに出発。午前8時19分すぎに離陸し、ペインフィールド空港上空をローパス後、モーゼスレイク付近から747と王冠の航跡を午前8時55分ごろから2時間半ほどかけて描き、シンシナティへ向かった。

*写真は26枚。
*前日に開かれたデリバリー式典はこちら [1]

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8Fに描かれた747生みの親ジョー・サッター氏のイラスト=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスする最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

アトラスエアーによる最後のジャンボ機747-8Fのデリバリーフライトのルート=23年1月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エバレットで出発を待つ最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

放水アーチをくぐりエバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

放水アーチをくぐりエバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

エバレットを出発する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港を離陸する最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスする最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスする最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスする最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスしシンシナティへ向かう最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ペインフィールド空港をローパスしシンシナティへ向かう最後のジャンボとなったアトラスエアーの747-8F=23年2月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
Atlas Air Worldwide [2]
Boeing [3]
ボーイング・ジャパン [4]

最後のデリバリー
【現地取材】最後のジャンボ納入 56年の歴史に幕 最終号機は747-8F貨物機 [1](23年2月1日)

747
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