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エアバス、大型輸送機ベルーガSTに軍用ヘリ積込 クレーン不要の搭載システム開発

 エアバスが現地時間9月21日、大型輸送機A300-600ST「BelugaST(ベルーガST)」に大型の軍用貨物を積み込むローディングシステム(搭載システム)を開発し、検証試験を実施したと発表した。最初の顧客はドイツ連邦軍で、軍用ヘリコプターCH-53をベルーガに積み込んだ。

ベルーガSTに搭載されるドイツ軍のCH-53(エアバス提供)

 ローディングシステムは、グループの防衛宇宙部門エアバス・ディフェンス・アンド・スペースが1年半かけてゼロから開発。クレーンを必要としない同システムの総吊り上げ能力は35トンで、搭載可能な状態に分解されたCH-53を1時間半以内に積み込む準備が完了し、ベルーガへの搭載作業も約1時間で終えられるという

 ミュンヘン北部のマンヒングで検証試験を実施。今後数週間のうちにドイツ軍による最終確認が行われる見通し。

 ベルーガはシロイルカを意味する愛称。エアバスはA300を基にした5機のベルーガSTを、A330-200F貨物機をベースに開発された6機の「BelugaXL(ベルーガXL)」に更新する計画を進めている。ベルーガXLは5号機が7月に初飛行しており、機材更新も終盤に差し掛かっている。

神戸空港に到着し前方貨物ドアから積荷の大型ヘリを降ろすエアバスの大型輸送機「ベルーガST」=21年12月25日 PHOTO: Kiyoshi OTA/Aviation Wire

 更新後のベルーガSTは、エアバスが2024年に設立を予定している特大貨物輸送サービス「Airbus Beluga Transport(ABT、エアバス・ベルーガ・トランスポート)」を担う新会社が運航を引き継ぐ。新会社設立に先立ち、2021年12月にはエアバス・ヘリコプターズの大型ヘリコプターを仏マルセイユからワルシャワ、ノボシビルスク、ソウル(仁川)、関西空港経由で神戸空港に運んだ。ベルーガSTの日本飛来は22年ぶりとなった(関連記事 [1])。

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BelugaST [2]
BelugaXL [3]
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