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JAL、逮捕の副操縦士がマウスウォッシュ使用 酒臭さ消すためか

 日本航空(JAL/JL、9201)は、飲酒により英国で逮捕された男性副操縦士が、乗務前のブリーフィング後、携帯式のマウスウォッシュ(口中清涼液)を使用していたことを、国土交通省へ11月16日に提出した報告書で明らかにした。また、副操縦士は空港の保安担当者から呼び出され、警察が来るまでの待機中にもマウスウォッシュを使用していた。

飲酒により英国で逮捕された副操縦士に関する報告書を国交省へ提出したJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 副操縦士が逮捕されたのは現地時間10月28日(日本時間29日)で、現在も英国で拘留されている。副操縦士は、ロンドンを28日午後7時(日本時間29日午前4時)発の羽田行きJL44便(ボーイング777-300ER型機、登録番号JA733J)に、機長2人とともに3人で乗務予定だった。しかし、飛行機へ向かう送迎バスの運転手が、ホテルから空港内にあるJALの事務所へ向かう際、副操縦士からアルコール臭を感じたため、再検査を実施。英国の規定値を大きく超えるアルコール量が検出され、身柄を拘束された。

 報告書によると、副操縦士は滞在先のホテルで出発時刻ギリギリに機長2人と合流し、空港へ向かう送迎バスで運転手の真後ろの席に座った。一方で、機長2人は後方座席に座り、副操縦士と運転手の距離は約60センチ、機長とは約180センチ離れた位置関係だった。

ホテルからJALの事務所へ向かう送迎バスの車内の様子を説明する進専務=18年11月16日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALの事務所でブリーフィング前に実施した呼気検査では、機長のうち1人が副操縦士の検査方法を見ていた際、アルコール感知器の感度調節を省略するなど少し雑な検査だと感じたものの、口を感知器に近づけて検査していたことから、許容範囲と考えたという。しかし、後から考えると副操縦士が感知器に息を吹きかける時間が少し短かったのではと感じたと、会社側に報告している。

 また、呼気検査を終えて行われたブリーフィング後に、副操縦士がスプレー式のマウスウォッシュを使用していた。乗務便の機内に到着後、送迎バスの運転手から通報を受けた空港の保安担当者が、アルコールに関することは一切触れずに副操縦士を呼び出したが、「酒は飲んでいない。マウスウォッシュだ。うがいをさせて欲しい」と、大声を出した。そして、副操縦士本人の証言によると、警察が到着までの待機中に、再びマウスウォッシュを使用したという。

 呼気検査を雑に感じた機長が、「マウスウォッシュだから大丈夫だね?」と副操縦士に話しかけたところ、時々使用すると応じたことから、きちんと検査すれば大丈夫だとの認識だった。

 また、本来は3人乗務で運航するJL44便を2人乗務で運航した点については、同便の乗務時間がJALの運航規定で2人乗務の上限とする15時間以内に収まることや、機長2人の体調が良好だったことから、現地から報告を受けたJAL本社も了承した。

 この判断について、JALでは拡大解釈にあたるとして、出発前にパイロットの編成を変更できないように運航規定を改訂すると国交省へ報告した。

関連リンク
運航乗務員の飲酒による法令違反に関する調査経過と再発防止策について [1](JAL)
日本航空 [2]

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