全日本空輸(ANA/NH)のエアバスA321neoの初号機(登録番号JA131A、MSN7839)が9月8日午後3時25分、羽田空港に到着した。国内線用機材で、12日の羽田発熊本行きNH641便が初便となる。
国内の航空会社がA321neoを受領したのは初めて。ANAの国内線仕様機初となる、全席にタッチパネル式個人用モニターを設けた。電源コンセントや充電用USB端子も備え、機内インターネット接続サービスに対応している。
*写真特集の機内編はこちら [1]。
*写真特集の外観編はこちら [2]。
*初便の記事はこちら [3]。
—記事の概要—
・PW1100GのA321neo初納入
・個人用モニターや電源装備の国内線機材
PW1100GのA321neo初納入
A321neoの「neo」は「ニュー・エンジン・オプション」の略で、A320ファミリーの長胴型であるA321ceo(A321従来型)の発展型。A320と比べ、胴体長は約20%長い44.5メートルとなる。新型エンジンと翼端の大型ウイングチップ「シャークレット」を取り付けたことで、燃費を15%改善した。
ANAが2016年11月12日に就航させたA321ceoと比べると、航続距離は2380キロ長い(約1.87倍)5130キロ、最大離陸重量は9トン多い(約1.1倍)89トン、最大運用高度は1万2100メートル(3万9698フィート)となっている。
A321neoのエンジンは、米プラット・アンド・ホイットニー(PW)製PW1100G-JMと、CFMインターナショナル製LEAP-1Aのいずれかを選択できる。ANAは、PW1100G-JMシリーズのうち、推力が1万3740キログラム(3万290ポンド)の「PW1130G-JM」を選定した。
PW1100G-JMは、三菱航空機が開発中の「MRJ」が採用したものと同じ仕組みの「GTF(ギアード・ターボファン)エンジン」。ギアを介してエンジンファンの回転数を制御することで、低燃費と低騒音を実現している。
PW1100G-JMはPWのほか、財団法人日本航空機エンジン協会(JAEC)と独MTUアエロエンジンズによる国際共同事業で、JAECには三菱重工業(7011)と川崎重工業(7012)、IHI(7013)が参画。JAECが全体の23%を担当している。
エアバスがPW1100G-JMを搭載したA321neoを引き渡すのは、今回が初めて。ANAは、A321neoを運航する5番目の航空会社となる。A321neoを初受領したのはヴァージン・アメリカ(VRD/VX)で、このほかにアイスランドのLCCWOWエア(WOW/WW)、スウェーデンのチャーター航空会社ノブエア(NVR/N9)、スリランカ航空(ALK/UL)が受領している。
個人用モニターや電源装備の国内線機材
8日に到着したA321neoは、2014年7月31日にANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)が22機発注したうちの1機目。全機が国内線仕様機となる予定で、2023年度末までに受領する。
座席数はA321ceoと同じ2クラス194席で、プレミアムクラス8席と普通席186席。シートはプレミアムがレカロ製、普通席がゾディアック・エアロスペース製で、プレミアムは電動リクライニングシートを採用した。1列あたりの座席配列は、ビジネスが2席-2席、エコノミーが3席-3席となっている。
シートピッチはビジネスが50インチ(127センチ)で、エコノミーが31-32インチ。全席にタッチパネル式個人用モニターを設置し、画面サイズはプレミアムが12インチ、普通席が10インチとなっている。両クラスとも、電源コンセントと充電用USB端子を設けた。
また、Wi-Fi機器による機内インターネット接続サービス「ANA Wi-Fiサービス」に対応。機内エンターテインメントシステム(IFE)は、2016年12月26日就航のA320neoと同じく、ゾディアック製「Rave」を採用した。
ANAがA321を導入するのは、2016年のA321ceo就航に続き、今回で3回目。初回は1998年4月から2008年2月までで、最多で7機のA321(シャークレットなし、191席:スーパーシート8席、普通席183席)を国内線で運航した。
羽田に到着した初号機は8月23日に製造され、9月5日に独ハンブルクで引き渡された。機体を空輸するフェリーフライトの便名はNH9400便で、ハンブルクを6日午後8時に出発してノボシビルスクを経由し、8日午後3時16分に羽田のA滑走路(RWY34L)に着陸。同25分に202番スポット(駐機場)へ到着した。
初便の運航スケジュール
NH641 羽田(08:25)→熊本(10:05)
*写真は23枚。
関連リンク
全日本空輸 [4]
Airbus [5]
エアバス・ジャパン [6]
写真特集・ANA A321neo初号機
機内編 各席に個人モニターや電源装備 [1](17年9月10日)
外観編 低燃費大型エンジンは直径2メートル [2](17年9月10日)
ANAのA321neo
・ANA、A321neo国内初就航 電源と個人モニター装備 [3](17年9月12日)
・ANA、A321neo初号機受領 9月中旬から国内線 [7](17年9月7日)
・ANA、777-9XとA321neoなど70機正式発注 16年度から受領 [8](14年7月31日)
・ANA、777-9XとA321neoなど70機発注 過去最大の投資規模 [9](14年3月27日)
ANAのA320neo
・ANAのA320neo、国際線に初就航 成田から上海へ [10](17年1月23日)
・ANA、日本初のA320neo就航 羽田から関空、1月から国際線 [11](16年12月26日)
・ANA、日本初のA320neo羽田到着 大型機並み装備、1月から国際線 [12](16年12月17日)
・ANA、A320neo初号機を受領 1月から近距離国際線 [13](16年12月16日)
写真特集・ANA A320neo初号機就航
第1回 大型機並み装備のビジネスクラス [14](16年12月27日)
第2回 狭小空間生かしたギャレーと化粧室 [15](16年12月29日)
最終回 新型エンジンで低燃費低騒音 [16](16年12月30日)
写真特集・ANA A320neo初号機(羽田到着時)
前編 近距離ビジネスも電動シート [17](16年12月18日)
後編 小型機だけど大型低燃費エンジン [18](16年12月20日)
ANAのA321ceo
・ANA、A321ceo初号機が羽田到着 上級クラスに電動新シート [19](16年10月31日)
写真特集・ANA A321ceo国内線仕様
前編 電動シートのプレミアムクラス [20](16年11月17日)
後編 初号機はハンブルク製 [21](16年11月18日)
他社のA321neo
・ノブエア、A321neo受領 LEAP機、スウェーデンのチャーター会社 [22](17年7月6日)
・エアバス、A321neo初号機納入 ヴァージン・アメリカ、LEAP機リース導入 [23](17年4月24日)