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羽田事故のA350、拡声器性能不足でCAの声届かず 国交省が高出力化要請

 国土交通省航空局(JCAB)は4月17日、羽田空港で2024年1月に発生した海上保安庁機と日本航空(JAL/JL、9201)機の衝突事故を巡り、航空会社と機体メーカーに対し、非常脱出時の対応力強化を要請した。国の運輸安全委員会(JTSB)から同日、JAL機に装備されていた拡声器では指示の伝達範囲が不十分だったとの情報提供を受けた対応で、より高出力な拡声器の装備や代替手段の設定、訓練強化などを求めた。

*運輸安全委員会発表の記事はこちら [1]

JAL機に搭載されていたものと同型式の拡声器(JTSBの第2回経過報告から)

—記事の概要–
PA不作動も想定
高出力拡声器の選択肢要請

PA不作動も想定

 航空会社向けの要請は5項目。新型機と既存機を問わず、新たに航空機を導入する際は、より高出力な拡声器を選択できる場合は導入するよう要請した。装備可能な拡声器に選択肢がない場合や、既存機で高出力品への換装の選択肢が示されていない場合は、より高出力な拡声器を選択・装備できるよう、機体メーカーと調整するよう求めた。一方、拡声器の伝達範囲を評価し、高出力化が不要な場合は、対応は求めないとしている。

JTSBによる拡声器の検証実験(同委員会の第2回経過報告から)

 このほか、機内インターホンなどのアナウンスシステム(PA)が作動せず、拡声器の声も届かない場合を想定し、パイロットと客室乗務員の意思疎通や、乗客への非常脱出の呼びかけに関する別の手段を設定するよう要請。設定した手段で迅速に非常脱出できるよう、実技訓練を定期的に行うことも求めた。

 また、拡声器は使用方法により、能力を最大限発揮できない場合があるとして、パイロットと客室乗務員が、自機に装備されているものと同じ型式の拡声器を実際に使い、操作感を確認する実習を定期的に行うよう求めた。

高出力拡声器の選択肢要請

 機体メーカー向けには、アナウンスシステムの不作動時に備え、より高出力な拡声器を装備可能とするための措置を検討するよう要請。航空機購入時や既存機の改修時に選択できる拡声器のオプション変更などを例示し、同様の緊急事態で乗務員の指示の伝達範囲拡大に寄与する対応を求めた。

JTSBによる拡声器の検証実験に使用した集音マイク(同委員会の第2回経過報告から)

 今回の要請は、JTSBが同日公表した情報提供を受けたもの。羽田空港で2024年1月2日に起きた海上保安庁のMA722(ボンバルディアDHC-8-Q300型機、登録記号JA722A)と、日本航空(JAL/JL、9201)の札幌発羽田行きJL516便(A350-900、JA13XJ)の衝突事故の調査過程で、JALのA350-900に装備されていた拡声器では、指示の伝達範囲が不十分だったことが判明していた。

 航空局は、拡声器は周囲の乗客に非常脱出を呼びかけることなどが主な用途で、機内インターホンなどが不作動となった場合の乗務員間意思疎通を確保する観点からの国際基準は定められていないとしつつ、アナウンスシステムの不作動などに備え、より高出力な拡声器の装備に努めることなどは有効と説明している。

関連リンク
運輸安全委員会 [2]

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第1回経過報告
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羽田事故
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