国土交通省航空局(JCAB)は4月14日、第5回となる「国内航空のあり方に関する有識者会議」と「羽田発着枠配分基準検討小委員会」第2回を合同会議として開き、5月の取りまとめに向けた骨子案を示した。コロナ後に需要構造が変化している航空各社の国内線を維持するため、競争を原則としつつ、曜日運航や期間減便、ダイヤ調整、会社間協業を認める方向を打ち出した。

国内線維持を模索する航空各社=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・出張需要減とコスト増
・運賃監視や定時性向上
・業界による需要創造
出張需要減とコスト増
骨子案は、国内線を巡る現状認識について言及。2000年の規制緩和で新規参入が進み、路線網や運賃の面で利用者の選択肢が広がった一方、新型コロナ後に需給構造が変化したことで危機的な状況にあるとした。2024年度には国内線事業の収支が実質的に赤字に転落したとし、オンライン会議の普及を背景に高単価の出張需要が減少する一方、機材や部品調達、海外重整備などの外貨建て費用の拡大に加え、燃油費、整備費、人件費が上昇しているとした。

国交省で開かれた国内航空のあり方に関する有識者会議=26年4月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
また、個別施策の柱も提示。国内線の路線網維持に向けたダイヤ調整や供給量も含めた調整、航空会社間の協業に向けた出資規制と運航業務の管理の受委託のあり方、運賃水準の監視や競争環境のモニタリング、航空輸送サービスに関する情報公開を盛り込んだ。
需要獲得策と今後の検討課題にも言及。インバウンド(訪日)旅客の積極的な取込み、リージョナル機の活用、地域航空を担う運航機材の品質改善、地域航空への乗継需要喚起、モード特性を活かした路線展開、定時性向上を列挙した。他モードとの役割分担や地域航空維持のあり方は、今後の検討課題に位置付けた。
運賃監視や定時性向上
前回の第4回会合で、有識者から指摘のあった点については、協業策や競争環境の考え方を説明。協業策では、機体や乗務員などをセットにした「ウェットリース」について、同一グループ外の航空会社が委託者と受託者となる場合、必ずしも同じ運航・整備規程や業務体制を求めない考え方を明確化した。

福岡空港の搭乗口に表示されたJAL便名とコードシェアのANA便名が表示されたJACの鹿児島行き3673便=22年10月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
競争環境では、出資規制廃止後に競争性が過度に阻害される状況が生じた場合、発着枠の回収・再配分の考え方を再検討する必要があるとし、2029年の混雑空港使用許可更新を待たず、定期的に状況を確認する方針を示した。
また、運賃監視や定時性向上策にも触れた。各社の運賃設定や販売行動を実勢運賃でモニタリングし、略奪的運賃の判断基準見直しも検討する方針を説明した。
定時性向上では、1月22日から実施した管制空域の見直しや、4月1日から始めた機内持込手荷物の個数・大きさ制限の厳格化を紹介。需給適合の手段として、曜日運航や期間減便を進めやすくするため、発着枠の「1カ月以上の連続未使用」ルールの一定の緩和も検討課題に挙げた。
離島路線をはじめとする地域航空への支援策にも言及。2026年度から国際観光旅客税の使途を国内線にも広げ、搭乗手続きの円滑化やグラウンドハンドリング業務の効率化に加え、空港ターミナル機能の強化やアクセス改善にも充てる方針を示した。
地域航空の需要創出策として、航空局航空事業課の庄司郁課長は、天草エアライン(AHX/MZ)と米グーグルの契約締結を支援し、「Googleフライト」などの検索・予約導線に載るよう支援した事例を紹介した。
また、仏ATR製のターボプロップ(プロペラ)機で問題となっている運航品質改善も課題として取り上げられた。メーカー側の部品供給やサポート体制といった課題に加え、安全に関わらない不具合への対応は航空会社側があらかじめ整備規程に定め、離島での不具合にリモート整備を活用できるよう、法令の適用関係を整理する方向を示した。
業界による需要創造
航空業界側からは、需要創造の新たな取組や原油高への懸念も示された。日本航空(JAL/JL、9201)や全日本空輸(ANA/NH)など国内の航空会社19社が加盟する業界団体「定期航空協会(定航協、鳥取三津子会長)」の大塚洋理事長は、加盟各社の若手・中堅有志による需要創造プロジェクトを今月発足させたと説明した(関連記事 [1])。

定航協が初開催したワークショップで講演するFDAの本田社長=26年4月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
また、国内の航空業界で最大の産業別労働組合である航空連合(JFAIU)の小林茜事務局長は、春闘で平均約1万2000円のベースアップを実現した一方、中東情勢緊迫化に伴う原油高騰への懸念を示し、航空業界の担い手を確保することへの理解を求めた。
次回会合は5月に開催予定。今回の議論を反映した取りまとめ案を示す。
関連リンク
国土交通省 [2]
有識者会議
・国交省、スカイマークなど中堅4社への出資規制廃止案 大手の関与拡大も [3](26年3月9日)
・国内線は「赤字体質」出張減とドル建てコスト増で航空各社苦境、国交省有識者会議が初会合 [4](25年5月31日)
IATA事務総長の見方
・日本の国内線「航空会社多すぎない」IATA事務総長、成長鈍化も「重要な市場」 [5](25年12月10日)
系列越え
・ANAとJAL、グラハン7資格を相互承認 地方10空港でマーシャリングや牽引など [6](24年5月14日)
・ANA/JAL系列越えコードシェア、九州でスタート 離島路線維持で [7](22年10月30日)
機材小型化
・ANAはなぜエンブラエルを選んだのか 完結編・どうなるスペースジェット跡目争い [8](25年2月26日)
・JAL、A321neo初導入 赤坂社長「人口減少は止めようがない」特集・767国内線後継をなぜ小型化するのか [9](24年3月21日)