国土交通省航空局(JCAB)は8月26日、パイロットにCRM(クルー・リソース・マネジメント)訓練を義務づける航空法などの改正に伴い、12月1日に施行する政令などが閣議決定されたと発表した。一部規定は9月1日に施行する。パイロットに必要な「管理技能」の訓練制度を設け、管制下の空港での離着陸や訓練の監督に必要な修了証の携行を求める。

国交省がパイロットにCRM訓練を義務づける(資料写真)=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
今回の改正では、登録訓練機関制度を創設し、国土交通大臣の登録を受けた機関が訓練を実施。講師や教材に一定の基準を設けるほか、訓練修了者には証明書を交付する。登録機関は事前に訓練規程を届け出る必要があり、基準を満たさない場合は是正命令や登録取消の対象となる。
訓練制度創設の背景には、羽田空港で2024年1月2日に発生した航空機衝突事故を踏まえた安全対策がある。改正法では、地上走行中の誤進入防止に関する設備の維持管理や改修を義務付ける基準も追加した。
今回の改正には、地方空港での国の工事代行制度や災害復旧に関する条項も盛り込まれている(関連記事 [1])。
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