全日本空輸（ANA/NH）が総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU（フライング・ホヌ）」を成田－ホノルル線の定期便にお盆限定で再投入した。1年4カ月ぶりの投入で、8月9日の成田発初便NH184便には145人の乗客が搭乗した。
今年で就航2周年を迎えたANAのA380だが、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響で、2020年8月からは遊覧飛行に活路を見いだし、今年は本来のかき入れ時である8月の定期便再投入を迎えた。定期便離脱から復帰までの主な出来事をまとめた。
成田空港を出発し滑走路へ向かうANAのA380によるホノルル行きNH184便＝21年8月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・3月24日が運休前最後
・初のCチェック
3月24日が運休前最後
ANAが成田－ホノルル線にA380を投入したのは、2020年3月24日以来約1年4カ月ぶり。日数にして503日ぶりとなった。
定期便離脱後初めて成田空港を離陸するANAのA380＝20年6月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ホノルル空港に初めて2機のA380が揃ったのは2年前の7月だった＝19年7月2日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ANAのA380は3機発注しているうち2機が受領済み。新型コロナの影響による運休前最後の定期便運航日となった2020年3月24日は、青い初号機（JA381A）が成田発NH182便と同日折り返しのホノルル発NH181便、エメラルドグリーンの塗装とほほ笑んだ表情が特徴の2号機（JA382A）は同じく24日の成田発NH184便と同日折り返しのホノルル発NH183便に投入された。最後に成田へ戻ってきたのは初号機によるNH181便で、翌25日に成田へ到着した。
定期便の運航から離脱後は、成田に駐機された状態が続いた。航空機は飛行しない期間が90日を超えた場合、機体をジャッキアップして主脚などを整備する必要があるため、2号機は最後の運航の翌日から数えて89日目にあたる2020年6月22日に、初号機は90日目にあたる翌23日に、乗客を乗せずに成田空港周辺を1周する整備目的のフライトを実施した。乗客が乗っていないことから「空（から）飛ばし」などとも呼ばれているものだ（2号機のフライトはこちら [1]）。
2カ月後の8月22日には、初号機を使って成田発着の遊覧飛行を初開催。約1時間30分のフライトで、抽選倍率は150倍を記録した（遊覧飛行当日の記事はこちら [2]）。2回目は9月20日に2号機で実施し、倍率は110倍だった（2回目の様子はこちら [3]）。
その後は機内食付きでフライト時間を2倍の約3時間に延ばし、今年1月1日には初日の出フライトに初号機を投入。ANAのA380は2019年5月24日に就航したが、初日の出フライトは今年が初めてだった（初日の出フライトの記事はこちら [4]）。
初の遊覧飛行に向かうANAのA380初号機（右）と予備の2号機＝20年8月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
初の遊覧飛行で成田空港を出発するANAのA380＝20年8月22日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
初日の出フライトで成田空港を離陸するANAのA380＝21年1月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
初のCチェック
そして、今年3月には初のCチェック（重整備）が行われ、初号機が3月4日に成田から中国・アモイへ向かい、27日に成田へ戻った。2号機は3月30日にアモイへ行き、成田には4月28日に戻ってきた。Cチェックは1年半から2年ごとに行われる整備で、自動車の車検に例えられる。機体の配管や配線、エンジンなどの内部構造点検など、整備箇所は機内外の多岐にわたるもので、ANAのA380は海外の整備委託先でCチェックを受けている（Cチェック出発時の記事はこちら [5]）。
Cチェックのため成田からアモイへ向かうANAのA380 2号機＝21年3月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
Cチェック後は成田発着に加え、関西空港と中部空港でも発着地が同じ遊覧飛行が4月に開かれ、関空と中部ともに初号機が投入された。6月にはA380をレストランにするイベント「レストラン FLYING HONU」が成田で開催され、2機のA380を並べて機内見学会や撮影会も開かれた（レストランの記事はこちら [6]）。
8月の成田－ホノルル線への再投入も6月に発表された。成田発は8月9日と13日、ホノルル発は10日と14日で、お盆期間に計2往復の運航となった。乗客数は初号機による9日の成田発NH184便が145人（幼児ゼロ）、10日のホノルル発NH183便が103人（幼児1人含む）、2号機を投入した2往復目の13日の成田発NH184便は120人（幼児ゼロ）だった。
ANAのA380の座席数は4クラス520席で、ファーストクラス8席、ビジネスクラス56席、プレミアムエコノミー73席、エコノミークラス383席。ANAによると、アッパーデッキ（2階席）にある上級クラスから埋まる傾向にあるという（ファーストクラスの写真特集はこちら [7]）。
ホノルル線の定期便は14日の成田行きNH183便を運航後、羽田発着に変更。ボーイング787-9型機（3クラス246席）で20日から週2往復運航する。当面は定期便から離れ、9月には出発地と目的地が異なるA380チャーターを成田－札幌（新千歳）間で初めて開催予定で、成田－那覇間も運航する。
新型コロナの影響を見通しにくい現状で520席を連日満席にするのは難しいため、再び定期便に投入するのは客単価が高い上級クラスが埋まりやすい年末年始などの繁忙期になりそうだ。
ANAのA380による「レストランFLYING HONU」のファーストクラス＝21年6月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ANAのA380による「レストランFLYING HONU」の機内見学会が開かれた初号機でファーストクラスを体験する参加者＝21年6月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港でANAの「レストランFLYING HONU」の食事会場となったA380の2号機に機内食を積み込むフードローダー車＝21年6月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港を離陸するANAのA380によるホノルル行きNH184便＝21年8月9日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港に着陸するANAのA380によるホノルル発NH183便＝21年8月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港を出発し滑走路へ向かうANAのA380によるホノルル行きNH184便＝21年8月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港のA滑走路を離陸するANAのA380によるホノルル行きNH184便＝21年8月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
成田空港のA滑走路を離陸するANAのA380によるホノルル行きNH184便＝21年8月13日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
全日本空輸 [8]
成田－ホノルル定期便
・ANAのA380、ホノルルへ2便目出発 深緑の2号機、お盆限定で定期便 [9]（21年8月13日）
・ANAのA380、ホノルルから成田帰着 お盆にあと1往復 [10]（21年8月11日）
・ANA、A380を成田－ホノルル再投入 青い初号機、1年4カ月ぶり定期便 [11]（21年8月9日）
9月のフライト
・ANA、A380で初の成田－新千歳・那覇チャーター 新千歳遊覧も [12]（21年7月26日）
・ANA、A380で沖縄・奄美上空飛ぶチャーター 世界自然遺産記念 [13]（21年7月28日）
・ANAのA380、新千歳でも遊覧飛行 9月に実施 [14]（21年7月26日）
写真特集・ANA A380 FLYING HONUの機内
（1）個室ファーストクラスでプライバシー確保 [7]（19年5月21日）
（2）ペアシートもあるビジネスクラス [15]（19年5月22日）
（3）2階後方にゆったりプレエコ [16]（19年5月23日）
（4）カウチシートもあるエコノミー [17]（19年5月24日）
3号機
・ANA、A380の3号機受領へ 10月内納入も日本飛来は未定 [18]（20年10月22日）
・ANA、オレンジのA380お披露目 空飛ぶウミガメ3号機、ハンブルクでロールアウト [19]（20年1月24日）
ホノルル空撮 初号機と2号機の2機並び
・【空撮】空飛ぶウミガメ、ホノルルに2機揃い踏み ANAのA380、週10往復に [20]（19年7月3日）
独ハンブルクで最終確認
・「みんなをヒヤヒヤさせた」カウチシート 密着！ANA社員のA380最終確認 [21]（19年6月11日）
4K動画（YouTube Aviation Wireチャンネル [22]）
・【4K】ANA A380 成田離陸 Early Christmas Flight [23]