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JAL、新卒採用見送りへ パイロットは継続、21年度

 日本航空(JAL/JL、9201)は7月21日、選考を中断している2021年度新卒採用について、採用中止に向けた検討を始めたことを明らかにした。20日に赤坂祐二社長が国土交通記者会加盟の新聞・通信各社のインタビューに応じた際、採用中止の意向を示したことを受けたもの。5月27日の発表通り、内定者150人は採用する方向で、自社養成パイロット訓練生と企画職の障がい者採用は継続する。

*採用中止を正式発表。記事はこちら [1]

21年度新卒採用見送りを近く正式発表するJAL=20年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALはAviation Wireの取材に対し、「採用中止を決定したわけではないが、新型コロナウイルスの影響は長期化が懸念されており、中断中の採用活動の再開可否は慎重に検討しているが、厳しい状況と言わざるを得ない」と応じ、近く採用中止を正式発表するとみられる。

 JALは2021年度新卒採用で、グループ全体で約1700人の採用を予定していた。JAL本体は業務企画職の事務系40人程度と技術系50人程度、数理・IT系20人程度の約110人、パイロット訓練生を約80人、客室乗務員を約400人を採用予定だった。グループ各社もパイロットを除いて採用を中断しており、このまま中止となる見込み。

 2010年1月の経営破綻後、JALは2011年入社から採用を取りやめ、客室乗務員と業務企画職の地上職事務系は2013年から、業務企画職地上職技術系は2014年から、パイロット訓練生は2015年から採用を再開しており、採用中止が決まると約9年ぶりとなる。

 大手2社のうち、全日本空輸(ANA/NH)を傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、5月8日に2021年度新卒採用を一時中断すると発表。7月10日にグループ全体の採用中止を正式発表した。

 JALやANAなど世界各国の航空会社などが加盟するIATA(国際航空運送協会)は、国際線の需要回復は2023年から2024年になると予測している。赤坂社長も20日の新聞各紙の取材に対し、回復までに3年程度かかるとの見通しを示した。このため、2022年度以降も航空会社の新卒採用は厳しい状況が続きそうだ。

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日本航空 [2]

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