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ピーチ、ウイルス対策公開 間もなく国内全線再開、旅客の不安払しょくへ

 国内全路線の再開を控えたピーチ・アビエーション(APJ/MM)は6月5日、ウイルスへの感染対策を拠点となる関西空港で報道陣に公開した。空港の地上係員はマスクとフェイスシールドを着用し感染拡大を防止する。このほか、機内の空気循環を説明し、利用客の不安感を払しょくする。

噴霧器で機内の清潔を保つピーチのオペレーション担当スタッフ=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
機内「密閉空間ではない」
噴霧器導入でさらに清潔に

機内「密閉空間ではない」

 機内の空気はエンジンを通じ、新鮮な外気を取り込んでいる。高性能フィルター「HEPA(高効率粒子状空気)フィルター」でろ過した空気は機内を循環し、約3分で機内のすべての空気が入れ替わる。空気は天井から座席下への一方向に流れるため、客室内の前後左右に空気が拡散しない。

機内の空気循環を説明するピーチの丸橋部長=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ピーチ整備本部技術部の丸橋賢吾部長によると、HEPAフィルターが不得意とするのは0.3マイクロメートルの粒子の捕集で、0.3マイクロメートル以上と以下のものの捕集は得意だという。一般的なウイルスの大きさは0.1マイクロメートル以下で「得意な領域」(丸橋部長)なことから、ウイルスの捕集能力は99.999%だとした。

 丸橋部長は「新鮮な空気を取り込み、フィルターを通じ3分程度ですべてが入れ替わる」とした上で、「機内はいわゆる密閉空間ではない」と述べ、安全性をアピールした。

 ピーチは現在、エアバスA320型機を33機保有。このうち9機は2019年11月に統合を完了した旧バニラエアのA320で、ピーチ仕様に改修して運航している。丸橋部長によると、元バニラ機もピーチ同様に高性能のHEPAフィルターを搭載しており、ピーチ転籍後も継続して使用しているという。

 後継機材はA320neoとA321LRで、いずれも年度内の受領開始を予定している。後継機材にも従来同様、高性能のHEPAフィルターを搭載する。

HEPAフィルターを手にするピーチの丸橋部長=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

噴霧器導入でさらに清潔に

 空港カウンターなどで接客にあたる地上係員らの取り組みも紹介した。地上係員はマスク着用を厳守し、飛沫感染を防ぐフェイスシールドも着用するとしている。またカウンターにはビニールシートを設置し、対面時の飛沫感染を防止する。

 機内では、オペレーション担当のスタッフらが座席をアルコールで拭き上げて除菌する。6月5日から除菌消臭剤の入った噴霧器も導入し、アルコール除菌に加え、さらに清潔を保てるようになった。

 また、客室乗務員はマスクと手袋を着用。機内販売を3月9日から中止し、乗客との接触を極力避けている。テーブルや肘掛けなどの座席周りや、トイレのドアノブなど、乗客の手が触れる部分の消毒も徹底する。

 乗客には、出発前に自宅などで検温するよう求め、空港と機内ではマスクの着用を強く求めている。そのほか飛沫感染を防ぐため、機内での会話を控えるよう呼びかけている。

 ピーチは新型コロナウイルスで運休している国内13路線について、6月から順次再開。1日には福岡-那覇線を再開し、残りの関西-福岡線や成田-奄美線など12路線は19日から再開し、一部路線は減便を継続するものの、国内22路線が出そろう。全17路線ある国際線は、6月30日まで全便を運休する。

 国内線再開を控え、ピーチは機内換気や消毒などを紹介する特設ページを相次いで開設。万全の体制で再開を迎える。

マスクとフェイスシールドを着用しチェックイン端末を操作するピーチの地上係員=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ビニールシートで対面時の飛沫感染を防止するピーチの地上係員=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

マスクとフェイスシールドを着用し利用客を出迎えるピーチの地上係員=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

噴霧器で機内の清潔を保つピーチのオペレーション担当スタッフ=20年6月5日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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