- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

エアバス、A320の新胴体組立ライン稼働 ハンブルク元A380施設転用

 エアバスは現地時間10月1日、独ハンブルクでA320ファミリーの新自動胴体組立ラインが稼働したと発表した。欧州を中心に各地にあるエアバスの工場のうち、A320ファミリーの胴体組立はハンブルクでのみ行われており、新ラインは3つ目となった。

エアバスのハンブルク工場で稼働したA320ファミリーの新自動胴体組立ライン(同社提供)

 新たな組立ラインは、A321neoの航続距離を伸ばした長距離型A321LR長い胴体セクションを考慮し、20台のロボット、新しいロジスティクスシステム、レーザー計測、デジタルデータ収集システムを備える。A380の製造に使われていた建屋を転用したという。

 最初のセクションの組立に「Flextrack(フレックストラック)」を使用。フレックストラックは、8台のロボットで縦方向のジョイントごとに1100から2400個の穴の穿孔(せんこう)とカウンターシンクを行う軽量の自動装置で、次の段階では7軸ロボット12台を使い、中央と後部胴体、尾部セクションをそれぞれ3000個のリベットで結合する。

 エアバスはロボットの活用のほか、製造の最適化や経済性向上、リードタイム短縮を実現するため、パーツのロジスティクスで新たな方法と技術を導入。ロジスティクスと製造を分離し、必要に応じたパーツの補充や自動運搬車を活用している。

 ハンブルクの構造組立施設では、胴体シェルの結合と胴体セクションの最終組立を行う。航空機のパーツには電気、機械システムが装備され、その後フランスとドイツ、中国、米国にある最終組立工場へ運ばれ、機体が完成する。

 現在のA320月産レートは60機で、2021年までに63機を目指す。ハンブルクには最終組立ラインが4つあり、4つ目はデジタルデータの活用や自動化が進められた最新鋭のもので、2018年6月14日に稼働している。

 A320ファミリーは8月末時点で1万4789機を受注しており、これまでに8979機を引き渡し済み。受注から納入機数を差し引いた受注残は5810機で、月産60機のペースが続くと完納までに約8年かかる。

新ラインに導入されたロボットなどの解説(エアバス提供)

関連リンク
Airbus’ A320 structure assembly line in Hamburg [1](動画あり)
Airbus [2]
日本におけるエアバス [3]

急げ電動航空機参入 経産省とエアバス・サフラン、日本企業の参入支援 [4](19年9月27日)
エアバス、38年までに3万9210機の新造機需要 アジア太平洋で42% [5](19年9月19日)
ジェットスター・ジャパン、23年度に35機体制へ 後継機、A321neo検討で座席増 [6](19年9月10日)
ピーチ、A320neoとA321LR用エンジンにCFM製LEAP-1A採用 20年度から [7](19年6月17日)
エアバス、超長距離型「A321XLR」ローンチ 単通路で世界最長、23年納入へ [8](19年6月17日)
ピーチ、A321LRを20年度導入へ 井上CEO「片道7時間程度」 [9](18年7月17日)