- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

ピーチ、成田-奄美就航 初便には元バニラの機体・パイロット

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のピーチ・アビエーション(APJ/MM)は10月1日、成田-奄美大島線の運航を開始した。同じくANAHD傘下のバニラエア(VNL/JW)との統合によるもので、8月末までバニラが運航していたものを引き継いだ。バニラが運航しピーチ仕様に改修したエアバスA320型機(登録記号JA04VA)を、初便に投入。また、バニラの初便を担当した副操縦士が、ピーチの機長として乗務した。

奄美空港を出発するピーチの成田行きMM546便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
奄美発着は夕方
知事「ピーチの企画力すばらしい」
群島でキャッシュレス決済
奄美初のLCCだったバニラ

奄美発着は夕方

ピーチの成田行き初便の出発を示す奄美空港の出発階=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ピーチでの再開後はバニラ運航時と同様、1日1往復運航する。運航スケジュール各日とも共通で、奄美大島行きMM545便は成田を午後1時50分に出発し、午後4時35分に到着する。折り返しの成田行きMM546便は午後5時15分に奄美大島を出発し、午後7時25分に着く。

 10月1日の初便となった奄美大島行きMM545便は、定刻どおりの午後1時50分に成田を出発し、奄美には定刻より9分早い午後4時26分に到着。161人(うち幼児4人)が利用した。折り返しの成田行きMM546便は108人(うち幼児2人)が利用し、定刻より1分遅れの午後5時16分に奄美大島を出発した。

 初便に投入したA320はバニラが運航していた機材で、ピーチ仕様に改修した初号機。外観と内装、コックピットのアビオニクスをピーチと統一した。また初便は、2014年のバニラ初便に副操縦士として乗務していたピーチの機長が担当した。

 奄美空港で使用する出発カウンターは、8月までバニラが使用していた場所を使用。スカイマーク(SKY/BC)と日本航空(JAL/JL、9201)グループとの間に設けた。

知事「ピーチの企画力すばらしい」

ピーチの奄美就航をアピールする井上CEO(右)と鹿児島県の三反園知事=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 MM545便の初便到着時、奄美空港の到着口で歓迎セレモニーを開催。ピーチの井上慎一CEO(最高経営責任者)と鹿児島県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事、あまみ大島観光物産連盟の有村修一会長らが初便の到着客を出迎え、島名産の黒糖などのプレゼントした。

 三反園知事はピーチについて、「『ピーチが来れば街が変わる』など、企画力がすばらしい」と評価。海外を含めた誘客に期待する姿勢を見せた。「奄美にはポテンシャルがある。地元の自治体と協力して発展に全力で取り組む」と力強く述べた。

 ピーチは7月から奄美の地元企業などと連携し、ワークショップを開催。地域活性化などについて話し合いを進めている。井上CEOはワークショップについて「コミュニケーションがすごい。島外の人間には分からない奄美の魅力を教えていただいている」と述べた。奄美群島は2020年のユネスコ世界自然遺産登録に向けた活動を展開していることから、「ワークショップをもっと開催して、海外にも魅力を発信したい」と意気込みを語った。

群島でキャッシュレス決済

 ピーチは奄美就航を契機とし、鹿児島県と共同で奄美大島を中心とした奄美群島を盛り上げる「奄美群島応援団」を発足させた。観光資源と来島促進、経済貢献の3つを柱とし、地元企業や自治体をサポートするパートナー企業を連携しながら、地域活性化と経済発展を目指す。

 第1弾として、奄美大島信用金庫(あましん、鹿児島県奄美市)と、スマートフォン決済サービス「Origami Pay(オリガミペイ)」を提供するOrigami(東京・港区)と連携し、地域経済に貢献。群島内でのキャッシュレス決済の促進を図る。また、中国や東南アジア各国で一般的となっているキャッシュレス決済を導入することで、訪日客の利便性向上も狙う。

 ピーチは、奄美名物の鶏飯を機内食に取り入れて観光資源の開発に取り組む。このほか、空港などで配付するオリジナルの情報誌「PEACH LIVE」で特集することで、来島促進を図る。

奄美初のLCCだったバニラ

 バニラエアは成田-奄美大島線を、2014年7月1日に1日1往復で就航。奄美初のLCCとして運航を開始した。奄美への乗り入れは2013年10月26日に運航を終了した旧エアアジア・ジャパンから引き継いだ路線ではなく、バニラが独自で開設した路線だった。

 2019年度末までにピーチと統合するバニラは、夏ダイヤ最終日の10月26日ですべての運航を終え、ピーチに路線を順次移管する。成田-奄美大島線も移管路線の1つで、8月31日に運航を終了。合計3781便を運航し、およそ55万人が利用した。

 バニラは2017年3月26日に、奄美2路線目として関西空港からの乗り入れも開始。成田線同様1日1往復で開設し、今年5月6日の運航終了まで合計1481便を運航した。関西-奄美線もピーチが引き継ぎ、12月26日に就航する。

*写真は18枚。
*運航スケジュールは写真の下にあります。

最終便の出発後に奄美空港のカウンターを片づけるバニラのスタッフ=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港でピーチ成田行き初便の搭乗手続きを進める利用客=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港に着陸するピーチの成田発MM545便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港に着陸したピーチの成田発MM545便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港に着陸したピーチの成田発MM545便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港に到着するピーチの成田発MM545便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港に到着するピーチの成田発MM545便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港で成田発MM545便初便の利用客にプレゼントを渡すピーチの井上CEO(左)と鹿児島県の三反園知事=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港で開催した初便到着セレモニー=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港を出発するピーチの成田行きMM546便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

コックピットから手を振る成田行きMM546便初便に乗務したピーチのパイロット=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港を出発するピーチの成田行きMM546便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港を離陸するピーチの成田行きMM546便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港を離陸するピーチの成田行きMM546便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

奄美空港を離陸したピーチの成田行きMM546便初便=19年10月1日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

運航スケジュール
MM545 成田(13:50)→奄美大島(16:35)
MM546 奄美大島(17:15)→成田(19:25)

関連リンク
ピーチ・アビエーション [1]
奄美空港 [2]

情報誌『PEACH LIVE』で特集
ピーチ、奄美特集のオリジナル情報誌 スマホ決済クーポンも [3](19年10月1日)

12月には関空からも
ピーチ、関西-奄美12月就航へ キャッシュレス決済で訪日需要強化 [4](19年8月21日)

関空は5月、成田は8月に終了
バニラ、成田-奄美の運航終了 独自路線、10月からピーチ [5](19年8月31日)
バニラエア、関西-奄美線の運航終了 冬ダイヤからピーチに [6](19年5月7日)

ピーチ改修初号機JA04VA
ピーチ、元バニラ改修初号機の機内公開 12機のA320を年度内刷新 [7](19年7月30日)
ピーチへの移管初号機“再来日” バニラのA320、年度内に12機改修へ [8](19年7月13日)
バニラのA320、ピーチへ移管開始 改修初号機が離日 [9](19年4月12日)
バニラエア、新仕様機が就航 新造4号機 [10](14年10月1日)

14年7月に就航したバニラ
バニラ石井社長「黄色い機体が奄美に映える」 成田-奄美大島線就航 [11](14年7月1日)

奄美に定着したバニラ
LCCは奄美に定着したか 居酒屋の大将「明らかに人増えた」 [12](15年12月6日)
LCC就航で奄美はどう変わったか 地元に浸透したバニラエア [13](14年11月24日)

バニラ吸収が進むピーチ
ピーチ、成田-札幌再就航 バニラ移管、1日6往復 [14](19年9月1日)
ピーチ、韓国2路線運休へ 冬ダイヤ、台湾3路線は順次開設 [15](19年8月28日)
ピーチ、成田-石垣線の航空券販売開始 バニラから移管 [16](19年8月27日)
ピーチ、元バニラ改修初号機の機内公開 12機のA320を年度内刷新 [7](19年7月30日)
ピーチへの移管初号機“再来日” バニラのA320、年度内に12機改修へ [8](19年7月13日)
ピーチ、成田拠点化へ 冬ダイヤ、バニラ吸収で路線増 [17](19年4月18日)
バニラのA320、ピーチへ移管開始 改修初号機が離日 [9](19年4月12日)
バニラエア、函館撤退 ピーチへの統合開始 [18](19年3月30日)
バニラ、19年10月で終了 既存10路線ピーチに、函館など3路線廃止 [19](18年12月17日)
バニラエア、新社長にピーチ井上CEO 統合向け役員体制変更 [20](18年10月23日)
ANA、ピーチへバニラ統合 本社一部を東京へ、中距離LCC進出 [21](18年3月22日)
ANAホールディングス、ピーチを子会社化 片野坂社長「独自性維持する」 [22](17年2月24日)

バニラ最終日は10月26日
バニラエア、みんなで曲作り 運航終了間近「LALALA LASTFLIGHT」 [23](19年9月14日)
バニラエア、最後の機内食 クリームパンと牛丼カレー、最終日まで [24](19年6月28日)