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ANA、A380就航でハワイ観光強化 ワイキキラウンジ拡充や電気バス、チャータークルーズも

 全日本空輸(ANA/NH)が総2階建ての超大型機エアバスA380型機「FLYING HONU(フライング・ホヌ)」を、5月24日から成田-ホノルル線に就航させる。ハワイと言えば、ライバルの日本航空(JAL/JL、9201)が今年で就航65周年を迎えており、日本におけるハワイ観光はJALが育ててきたと言っても過言ではない。

 そうした中、ANAは発注した全3機のA380をすべて成田-ホノルル線に投入する。5月24日に初号機(登録記号JA381A)が週3往復で就航後、7月1日から2号機(JA382A)を投入し、週10往復に拡大。最後の3号機(JA383A)は、2020年春から投入する計画だ。同路線のシェアを現在の15%から、A380が全機そろう2020年度以降は25%へ引き上げを目指す。

ANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 A380就航に連動して、ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港(旧称ホノルル国際空港)に海外初の自社ラウンジを24日に開設する。空港内で最大規模となり、ファーストがあるA380のアッパーデッキ(2階席)へ直接搭乗できる点が特徴だ(関連記事 [1])。

 一方、JALの強みは旅行商品「JALパック」など、海外旅行の初心者がストレスなく旅を楽しめる点。ANAはハワイ強化の一環として、ワイキキを中心に旅行者をケアするサービスを順次始めている。

—記事の概要—
マハロラウンジは広さ1.7倍
FLYING HONU描いた電気バス
チャータークルーズは「SAILING HONU」
billsとコラボ

マハロラウンジは広さ1.7倍

 5月6日にリニューアルしたのが、ワイキキ中心部にあるANAの「マハロラウンジ」だ。カラカウア通りに面したワイキキ・ショッピングプラザ2階に、2016年夏にオープンしたもので、ANAセールスが主催するハワイツアー参加者を対象にした施設だった。今回の改修で広さを約1.7倍に拡張し、マイル会員制度「ANAマイレージクラブ(AMC)」会員にも拡大する。

リニューアルしたANAのマハロラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 20日からは、AMC会員であれば大人1人20ドル分のマイルを使うことで、到着日から10日間マハロラウンジを使えるようにする。使用するマイル数は、米ドルから円換算後にマイルで精算するため、変動するという。

 A380の運航スケジュールは、ホノルル行きNH184便が成田を午後8時10分に出発し、同日午前8時30分着。成田行きNH183便は午前11時30分にホノルルを出発して、翌日午後2時55分に成田へ到着する。

 課題となるのは、NH184便が朝ホノルルに到着後、アーリーチェックインを利用したとしても正午近くまで数時間は、どこかで過ごさなければならない点だ。ホノルルは入国審査に時間がかかるため、午前10時ごろまでは空港外に出られない可能性が高いものの、その後ワイキキへ向かうと午前11時近くで、最短でも1時間程度はホテルにチェックインできない時間が生じてしまう。

 AMC会員であれば、到着直後にマハロラウンジで無料のWi-Fiサービスを使用したり、ロッカーに荷物を預けたり、レストランやオプショナルツアーの手配なども可能になる。スタッフは日本語で対応できるので、英会話に不安がある人も利用できる。

 トイレもラウンジ内に温水洗浄便座(ウォシュレット)付きの専用トイレを用意。海外のトイレに不安を感じている人も、安心して使えそうだ。

FLYING HONU描いた電気バス

 ホノルル到着後、ショッピングで利用する人が多いのがアラモアナセンターだ。フードコートなどもあり、お土産をまとめて買ったりするにも便利なところで、ハワイを訪れると利用する人も多いだろう。

ANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAはワイキキ中心部にある免税店「Tギャラリア」とアラモアナセンターを直行で結ぶ電気バス「ANAエクスプレスバス」の運行を4月20日から始めた。A380の愛称が「空飛ぶウミガメ」を意味するFLYING HONUになったことから、車体にもウミガメを描いた。バスは2台あり、初号機と同じ「ANAブルー」と、3号機の「サンセットオレンジ」が採用された。

 バスは15分間隔で、ワイキキとアラモアナ間を約12分で結ぶ。対象はAMC会員で、東京(成田・羽田)発ホノルル行きの往復航空券をANA便名で購入した人で、会員本人を除いて18歳未満の子供3人までを同行させられる。バスもマハロラウンジと同様、到着日から10日間利用できる。

 乗車チケットは、スマートフォンアプリ「ANAマイレージクラブ」を使うと、デジタルカード表示画面右下の「Coupon」ボタンを押すと表示される。アプリを使わない場合は、ANAのウェブサイトにログインすることで乗車チケットを表示できる。

チャータークルーズは「SAILING HONU」

 ANAの「ハローツアー」では、日本で申し込むと追加料金不要のプログラムを用意。A380就航記念として、「チャータークルーズ SAILING HONU(セイリングホヌ)」を5月25日から10月26日まで月曜と木曜、土曜日に実施する。定員は48人で、日本語対応できるスタッフ1人が同乗する。

ANAのハローツアーで用意するチャータークルーズ「SAILING HONU」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 アウトリガー・リーフ・ワイキキ・ビーチ・リゾート正面玄関に午後2時30分に集合し、午後3時に出発。ワイキキビーチを出航してダイヤモンドヘッド方面に向かい、1時間後の午後4時ごろに戻る。

 ビーチから出発するため、ビーチサンダルなどを用意したほうが良さそうだ。風が強かったり波が高い日もあるため、ANAではウインドブレーカーやタオルなどを持参することを勧めている。

 ANAによると、運航するクルーズ会社では1時間30分のコースを用意しているが、日本人の船上での過ごし方を考えると1時間程度のほうが時間を持て余さないと判断したという。

 私も乗船したが、船を撮影するためビーチを歩いていると、かなり波が強く打ち寄せることもあり、ジーパンがひざ下までぬれてしまうほどだった。一方で船上は波が高くなければ快適で、ダイヤモンドヘッドやワイキキのビーチの眺めは格別のものだった。

 現地では大人・子供とも1人40ドルでも販売しており、乗船費と飲み物代(アルコール・ソフトドリンク)が含まれている。

 申し込みは日本出発7日前までで、WEB限定ツアー「ANAザ★バーゲン」のコースや「ANA旅作」は対象外となる。

billsとコラボ

 ANAは成田・羽田発ホノルル路線のエコノミークラス機内食で、PR会社のサニーサイドアップ(2180)が運営するレストラン「bills」とコラボ。billsは豪州シドニー発祥のレストランで、「世界一の朝食」としてスクランブルエッグなどが人気を集めており、ホノルルにも大型店を持つ(関連記事 [2])。

billsワイキキ店のメニュー例=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エコノミーの機内食では、ポークシュニッツェルなどbillsの人気メニューを提供。また、ワイキキ店でドリンクを1杯プレゼントするプロモーションを2020年6月30日まで展開する。

 billsはホノルルに朝到着してからホテルにチェックインするまでの時間などに、同店を訪れて欲しいとPRしている。

  ◇ ◇ ◇

 ハワイといえば、初めての海外旅行で行ったり、家族旅行の定番として何度も足を運んだりと、日本人にとってなじみ深い旅行先の一つだ。

 そうした中、ANAはJALの牙城であるハワイで、A380を武器に市場拡大を目指す。ホノルルといえばトロリーバスが目立つが、さまざまな場所を立ち寄るため、ワイキキからアラモアナまでは意外と時間がかかるものだ。車内が静かな電気バス「ANAエクスプレスバス」でダイレクトに結ぶことで、先行するJALと差別化する。

 ハワイ市場攻略には、こうしたハワイ到着後の利便性向上が不可欠。5月24日のA380就航を前に、戦いは始まっている。

*写真は37枚(A380ホノルル到着→マハロラウンジ→ANAエクスプレスバス→SAILING HONU→ANAラウンジ→ANAスイートラウンジ→A380機内の順)。
*A380の運航スケジュールは写真下に掲載。
*A380の機内はこちら [3]
*ホノルルのラウンジはこちら [1]

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に着陸するANAのA380初号機=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港の駐機場へ向かうANAのA380初号機=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に到着したANAのA380初号機=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

マハロラウンジが入るワイキキ・ショッピングプラザ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リニューアルしたANAのマハロラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リニューアルしたANAのマハロラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リニューアルしたANAのマハロラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

リニューアルしたANAのマハロラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

アラモアナセンターで出発を待つANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAエクスプレスバスの車内=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAエクスプレスバスの車内=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

Tギャラリアに到着したANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの電気バス「ANAエクスプレスバス」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのハローツアーで用意するチャータークルーズ「SAILING HONU」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのハローツアーで用意するチャータークルーズ「SAILING HONU」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「SAILING HONU」の船上からワイキキビーチとダイヤモンドヘッドを望む=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのハローツアーで用意するチャータークルーズ「SAILING HONU」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのハローツアーで用意するチャータークルーズ「SAILING HONU」=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAのハローツアーで用意するチャータークルーズ「SAILING HONU」のオリジナルカクテル=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ワイキキビーチ沖でウミガメを鑑賞する人々=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ワイキキビーチ沖を泳ぐウミガメ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

「SAILING HONU」の船上からワイキキビーチを望む=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に開業するANAスイートラウンジとANAラウンジのエントランス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に開業するANAラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に開業するANAラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港の駐機場に到着し3本の搭乗橋を装着されたANAのA380=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に開業するANAスイートラウンジ=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に開業するANAスイートラウンジからA380の2階に直結する搭乗橋=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に開業するANAスイートラウンジから直接搭乗できるA380の2階=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ホノルルのダニエル・K・イノウエ空港で公開されたANAのA380=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

A380の運航スケジュール(19年5月24日から6月30日)
NH184 成田(20:10)→ホノルル(08:30)A380運航日:火金日
NH183 ホノルル(11:30)→成田(翌日14:55)A380運航日:火金日
*その他の日は787-9で運航
*19年7月1日からは毎日

関連リンク
#hawaii24 [4](ANAの特設サイト)
全日本空輸 [5]
Daniel K. Inouye International Airport [6]

ホノルルのラウンジ公開
ANA、ホノルルのラウンジ公開 A380の2階直結、ダイヤモンドヘッド一望 [1](19年5月9日)

2回目のホノルル飛来
ANAのA380、2回目のホノルル飛来 2階席へ機内食搬入確認も [7](19年5月9日)

写真特集・ANA A380 FLYING HONUの機内
(1)個室ファーストクラスでプライバシー確保 [8](19年5月21日)
(2)ペアシートもあるビジネスクラス [9](19年5月22日)
(3)2階後方にゆったりプレエコ [10](19年5月23日)

機内公開
ANA、空飛ぶウミガメA380公開 ファーストクラスやペア席ビジネスも [3](19年4月23日)

ホノルルでフィットチェック
空飛ぶウミガメ、ハワイ初飛来 写真特集・ANA A380フィットチェック [11](19年4月21日)
ホノルルにA380到着 ANA「空飛ぶウミガメ」ハワイ初飛来、地上施設確認 [12](19年4月18日)
ANAのA380、ホノルルへ 搭乗橋など現地確認 [13](19年4月17日)

エコノミーの機内食
ANA、ホノルル行きA380でbills機内食 シュニッツェルが第1弾 [2](19年4月16日)

成田へ初号機到着
ANA、A380「フライング・ホヌ」成田到着 片野坂社長「乗った瞬間ハワイ感じられる」 [14](19年3月21日)

ANAのA380
ANAのA380、トゥールーズ離陸 成田へ [15](19年3月21日)
ANA、A380初受領 総2階建て、5月から成田-ホノルル線 [16](19年3月21日)
ANA、A380お披露目 空飛ぶウミガメ、ハンブルクでロールアウト [17](18年12月13日)
ANAのA380、成田-ホノルル19年5月就航 7月に2号機 [18](18年11月27日)
ANAのA380、初飛行成功 ハンブルクで塗装へ [19](18年9月18日)
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なぜANAはハワイにA380を導入するのか 特集・A380はゲームチェンジャーか [23](16年1月5日)
ANAがA380導入!? 特集・スカイマーク”官邸主導”再建(後編) [24](15年8月6日)