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JAL、地方発チャーターでハワイ需要開拓 A380対抗、定期便は供給減

 日本航空(JAL/JL、9201)の財務・経理本部長の菊山英樹専務は4月26日、今年度のハワイ路線について供給を10%以上落とす考えを示した。一方で、地方発のホノルルチャーター便を運航し、繁忙期のファーストクラス需要を見込んだ機材変更も検討する。

地方発チャーターでハワイ需要を開拓するJAL=19年4月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
ハワイ定期便の供給減
「そう簡単に高くできない」
2社の19年3月期決算

ハワイ定期便の供給減

 競合の全日本空輸(ANA/NH)は、5月24日から総2階建ての超大型機エアバスA380型機を成田-ホノルル線に投入。座席数は4クラス520席で、1便あたりの座席数が現状の2倍以上になるほか、ANAのホノルル線では初のファーストクラスも用意する。

JALの菊山専務=19年4月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 菊山氏はA380の就航により「需給バランスが崩れる」として、ハワイ路線の座席供給量を見直す。定期便の供給を絞る反面、「地方発のチャーターなどで新しい需要を取りたい。ファーストタイマー(初回訪問者)が落ち込んでいるのが気になるところだが、A380はファーストタイマーの掘り起こしで航空需要全体に非常に大きな意味があると思う」と述べた。

 また、JALがハワイ路線に通常投入している機材は、ファーストクラスがないものだが、夏休みや年末年始など繁忙期のみ、ファーストクラスがあるボーイング777-300ERを投入している。

 今年度も同様の施策を打つかについて、菊山氏は「決定しているものはまだないが、高需要期にファーストクラス志向が高い方が多い時期があるのは事実」として、投入を検討する必要性にふれた。

「そう簡単に高くできない」

 また、JALとハワイアン航空(HAL/HA)が国土交通省と米国運輸省(DOT)に申請している日本-ハワイ路線でのATI(独占禁止法の適用除外)について、ANAがDOTに対し認可に反対する意見書を提出している。

試験のためホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に着陸するANAのA380。5月から就航する=19年4月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 菊山氏は航空会社が意見書を出すことは「一般的なプロセス」とした上で、「ANAもユナイテッド航空(UAL/UA)と共同事業(JV)を展開している。ハワイには(LCCの)サウスウエスト航空(SWA/WN)も参入しており、航空券の価格をそう簡単に高くはできない。(A380の5月就航で)かなりマーケットが荒れてきており、(ATI認可で)高くなるという懸念は当たらない。一番大事なのは、お客様の利便性を高められるかだ」と語った。

 ハワイアン航空のテオ・パナジオトゥリアス上級副社長は、「我々とJALとのATIを申請した際、ANAとユナイテッドによるJVとの競争を促せると当局に説明した」と、昨夏の取材で答えている。

 一方、ANAの親会社であるANAホールディングス(ANAHD、9202)の福澤一郎・グループ経理・財務室長兼財務企画・IR部長は、A380投入による運賃への影響について、「便数を増やせない中では飛行機を大きくするしかない。価格が乱れることはない」と語った。

2社の19年3月期決算

 26日にJALが発表した2019年3月期通期連結決算は、純利益が前年比11.4%増の1508億700万円だった。売上高は7.5%増の1兆4872億6100万円、営業利益が0.9%増の1761億6000万円、経常利益が1.3%増の1653億6000万円と増収増益だった。

 ANAHDが同日発表した2019年3月期通期連結決算は、純利益が23.0%減の1107億7700万円。売上高は4.4%増の2兆583億1200万円、営業利益が0.3%増の1650億1900万円、経常利益が2.5%減の1566億8100万円と、初めて売上高が2兆円台に乗り、営業益は4期連続で最高益を更新した。

*JALの決算詳報はこちら [1]

関連リンク
日本航空 [2]
ハワイアン航空 [3]
全日本空輸 [4]
U.S. Deparatment of Transportation [5]

19年3月期決算
JAL、19年3月期純利益11.4%増 20年通期予想は増収減益 [1](19年4月27日)

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