- Aviation Wire - https://www.aviationwire.jp -

スニーカーで働きやすく 特集・ZIPAIR制服お披露目

 「時代が変わるとエアラインに求められるものも変わる。真のニーズを察知して、エアラインも進化しなければならない」。日本航空(JAL/JL、9201)が100%出資する国際線中長距離LCC「ZIPAIR(ジップエア)」の西田真吾社長は、都内で開いた機体デザインと制服の発表会で、時代とともにエアラインも変わっていく必要性に触れた。

白と黒のスニーカーを手にするZIPAIRの制服を着用したモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
働きやすい制服
スニーカーで疲労軽減
*機体の特集はこちら [1]

働きやすい制服

 ZIPAIRは、英語で矢などが素早く飛ぶ様子を表した擬態語「ZIP」を用いたネーミングで、成田空港が拠点。当初の機材はJALからリース導入するボーイング787-8型機が2機(登録記号JA822J、JA825J)で、成田-バンコク(スワンナプーム)線とソウル(仁川)線の2路線を、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催前に就航させる計画を進めている。早ければ2021年にも米西海岸への乗り入れを目指し、就航2年後の黒字化が目標だ。

制服のコンセプトを説明するZIPAIRの西田社長ら=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 機体やロゴに使うコーポレートカラーは、メインカラーがグレー、サブカラーがグリーン。グレーを「ハーモニー・グレー」と名付けて「コストと満足度の調和」を、グリーンは「トラスト・グリーン」として「安全運航・定時運航などの高品質なオペレーション」を示した。

 ブランドロゴなどのデザインはSIX(港区)のアートディレクターの矢後直規氏、制服のデザインはファッションデザイナーで「TARO HORIUCHI」などを手掛ける堀内太郎氏が担当した。

 西田社長は「自分でサービスを企画し、実現するまで同じ人ができる働き方を目指している」と説明し、客室乗務員が空港の地上係員やサービスの企画職など、さまざま職種を兼務することから、働きやすさや動きやすさを重視した。

ポケットを大きくしたZIPAIRの制服=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 矢後氏が「20アイテムを自由に組み合わせて、業務や気分で選べるシステムを作った」という制服は、「着まわし」をコンセプトにスカートやパンツ、ワンピースなどのアイテムから自由に組み合わせられる。客室乗務員経験者の意見を取り入れ、ポケットは大きめにして、メモ帳など現場で使うものを出し入れしやすくしている。

 堀内氏は「しゃがんだりいろいろな作業があるので、機能性と統一感のバランスを取れるようにデザインした」という。

 4月11日に渋谷で開かれた発表会では、コーポレートカラーを使ったブロックを制服を着たモデルが運び、動きやすさを表現するパフォーマンスも行われた。「バラバラに配置してあったものが、きれいな形に並んでいくことで、日本らしい創意工夫を感じて欲しい」というのが、西田社長の狙いだった。

スニーカーで疲労軽減

 ZIPAIRの制服で特徴的なのがスニーカーだ。パイロットを含めて、白と黒のスニーカーを採用した。客室乗務員や地上係員の仕事は長時間立っていたり、広い空港を走らなければならないことから、疲労感の軽減も課題の一つだった。

スニーカーを手にZIPAIRの制服を説明するSIXの矢後氏(左)とファッションデザイナーの堀内氏=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 堀内氏は「ヒールで走っているところを見て、改善点としてスニーカーが出てきた。靴ひもとベルクロテープを使い、安全も考慮した」と、空港での働き方を分析していく上で、スニーカーが候補に挙がったという。

 西田社長も「固定観念では接客業なので革靴だが、パフォーマンスを出しやすい靴は重要。スニーカーをエアラインで採用できると思ったのは時代の流れもあるが、ライフスタイルを象徴できるものとして採用した」と、エアラインで働く人の服装も、時代の変化を取り入れるべきとの考えを反映した。

 今回の発表は機体のデザインと制服のみで、機内のお披露目は秋以降になる見通し。時代の流れを反映した機内はどのようなものになるのだろうか。

*写真は16枚。

ZIPAIRの制服を披露するモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服を披露するモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服を披露するモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服を披露するモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スニーカーを採用したZIPAIRの制服=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服の背面=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服を着用したモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRのスニーカー=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

かかとにロゴが入ったZIPAIRのスニーカー=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服を着用したモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ZIPAIRの制服を着用したモデル=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

都内で制服を披露するZIPAIRの西田社長ら=19年4月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

関連リンク
ZIPAIR Tokyo [2]
日本航空 [3]

機体デザインと制服発表
なぜZIPAIRの787は白なのか JAL初期導入機活用の思惑 [1](19年4月14日)
JAL中長距離LCC「ZIPAIR」、機体デザインと制服発表 西田社長「働きやすさ重視」 [4](19年4月11日)
ZIPAIR、40億円増資 JAL全額出資は変わらず [5](19年4月11日)

社名とブランド名発表
JAL中長距離LCC「ZIPAIR」、787で成田-バンコク・ソウル20年就航 米西海岸も視野 [6](19年3月8日)

JAL新LCC
JAL新LCC、3月上旬に事業許可申請へ 初期導入787-8移管 [7](19年2月25日)
「これだったらいいね」目指す 特集・JALっぽくない社長が考える新LCC [8](18年9月30日)
JAL、新LCCのパイロット10月募集開始 西田社長「ぶっとんだLCC」 [9](18年9月26日)
JAL、LCC準備会社「TBL」設立 募集は秋から [10](18年7月31日)
JAL、新LCC社長に西田氏 7月に準備会社 [11](18年6月29日)
競合多い東南アジアが現実的 特集・JAL中長距離LCCはどこへ飛ぶ? [12](18年5月18日)
JAL、中長距離LCC参入へ 成田拠点、787で20年夏めど [13](18年5月14日)