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MRJ、TC飛行試験開始 4号機で

 国土交通省航空局(JCAB)によると、三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」のTC飛行試験(型式証明飛行試験)が、現地時間3月3日に米国の飛行試験拠点であるモーゼスレイクでスタートした。当初は1月初旬の開始を予定していたが、準備に時間が掛かり、天候が悪かったことなどで約1カ月遅れになったという。

TC飛行試験を開始したMRJ(写真は飛行試験初号機)=18年6月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 TC飛行試験は、機体の安全性を証明する「型式証明(TC)」をMRJが国交省から取得するためのもので、同省のパイロットが審査。第1弾としてエンジンの空中での再始動や、APU(補助動力装置)の機能確認などを確認する。

 三菱航空機の親会社である三菱重工業(7011)によると、3日の飛行試験に使用された機体は、飛行試験4号機(登録記号JA24MJ)。今後のTC飛行試験について、国交省では「試験内容により、飛行試験機を使い分けるのでは」と説明している。

 MRJの納期は、5度の納入延期により2020年半ばを目指す。当初は2013年だったが、その後2014年4-6月期、2015年度の半ば以降、2017年4-6月期、2018年中ごろとずれ込んでいった。エンジンは米プラット&ホイットニー(PW)が開発した「PW1200G」を採用しており、低燃費や低騒音を売りにしている。

 MRJのローンチカスタマーであるANAホールディングス(ANAHD、9202)の片野坂真哉社長は、TC飛行試験の遅れについて、「2020年半ばにデリバリー(納入)するコミット(確約)をいただいている。三菱重工からもしっかりやると聞いており、信頼している」と、現状の機材計画は見直さない方針を2月26日に示している。

 MRJを製造する三菱重工は、4月1日付で泉澤清次常務が新社長に昇格する。一方、MRJは会長に退く宮永俊一社長が直轄してきたことから、当面は宮永氏がプロジェクトを引き続きリードしていく。

関連リンク
国土交通省 [1]
三菱航空機 [2]
三菱重工業 [3]
全日本空輸 [4]

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