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ANAでも身代わりアルコール検査 副操縦士交代で遅延

 全日本空輸(ANA/NH)の40代男性副操縦士(当時)が、約5年前に乗務前のアルコール検査で別の副操縦士に身代わりをさせていたことがわかった。1月26日に共同通信が報じた。

副操縦士による身代わり検査が発覚したANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAによると、副操縦士は2014年5月10日の羽田午前10時5分発上海(虹橋)行きNH1259便(ボーイング777-200ER型機、登録記号JA710A)に乗務予定だった。羽田空港で乗務前にアルコール検査を実施したところ、乗務禁止となる社内規定値の呼気1リットル当たり0.1ミリグラムを超えるアルコールが検出されたため、同便に乗務しない別の30代男性副操縦士に身代わりを依頼。検査を受けさせた。

 しかし、運航部門の当直担当者が不正に気づき、2人とは別の副操縦士に交代させた。この影響で、NH1259便は33分遅れの午前10時38分に羽田を出発した。

 ANAによると、40代副操縦士は出発50分前に実施した再検査には合格したが、乗務から外したという。ANAは、この副操縦士を出勤停止1カ月の懲戒処分、身代わりを引き受けた副操縦士を訓戒とした。

 パイロットの身代わり検査は、日本航空(JAL/JL、9201)でも2017年12月に発生。機長が同乗する機長に身代わりをさせていた。JALは2人を懲戒処分にした。

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