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三菱航空機、ボンバルディア提訴却下申し立て 「MRJ開発阻害が意図」と批判

 リージョナルジェット機「MRJ」を開発中の三菱航空機は12月20日、カナダのボンバルディアが三菱航空機を提訴したことについて、米国子会社の米国三菱航空機がボンバルディアの訴えの却下を申し立てたと発表した。MRJの開発阻害が意図と批判している。

ボンバルディアの提訴却下を申し立てた三菱航空機。写真はモーゼスレイクで飛行試験を行うMRJの飛行試験初号機=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ボンバルディアは現地時間10月19日に、三菱航空機を米ワシントン州シアトルの連邦地裁に提訴。三菱航空機がボンバルディアの機密情報を入手するため、小型旅客機Cシリーズ(現エアバスA220)の開発に携わった社員らを雇用し、情報を不正利用したと訴えた。

 米国三菱航空機はこれに対し、「ボンバルディアの企業秘密を不正使用しておらず、かつ、適法に採用活動を行っているとの認識」との声明を発表。提訴却下を申し立てた。今後は、訴えを否定する答弁書の準備を進める。

 三菱航空機はボンバルディアの提訴について、「MRJの開発を阻害し、航空機業界の経験豊富なエンジニアの雇用流動性を停滞させることが意図」と批判。ボンバルディアに対する反対請求も検討する。三菱航空機の水谷久和社長は、12月19日に「理解している範囲では、やましい点はない」と改めて強調している。

 地元紙シアトル・タイムズなどの報道によると、機体の安全性を航空当局が証明する「型式証明」の取得に向け、三菱航空機と協力会社の米エアロテックがCシリーズの開発に携わった元社員らを雇用し、TCCA(カナダ航空局)とFAA(米国連邦航空局)の型式証明(TC)に関する機密文書とデータを不正流用したとの主張を報じている。

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