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787エンジン改修、21年までに完了へ RRイーストCEO「ANAは優先事項」

 英ロールス・ロイス(RR)のウォーレン・イーストCEO(最高経営責任者)は11月30日、ボーイング787型機用エンジン「トレント1000」の改修について、2021年までに全世界で作業を終えられるとの見通しを示した。最大顧客である全日本空輸(ANA/NH)のエンジンについては、東京オリンピックが開催される2020年までに終えられるように進める。

改修作業が進むRRのトレント1000=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 30日に都内でAviation Wireの単独インタビューに応じたイーストCEOは、トレント1000のトラブルについて、「エンジン内のパーツに耐久性が十分とは言えない部分があり、問題解決に向けて18カ月取り組んできた。現在は再設計したブレードへの交換を進めている」と説明。「全世界で交換を終えるのは、航空会社の機材繰りもあるので、今から2、3年後になるだろう」と述べた。

 一方、ANAのエンジンについては、「全体の2割にあたるトレント1000の最大顧客だ。ANAの問題を完全に解消することが優先事項になっている。2020年の東京オリンピックを視野に、早い時期に終えることが重要だ」と、改修を急ぐ姿勢を示した。

 EASA(欧州航空安全局)による、航空機の安全性を確保するための整備や改修を指示する「耐空性改善命令(AD)」によると、エンジン内にある中圧コンプレッサー(IPC)のローターブレードに亀裂が生じることで、飛行中にブレードが飛び散り、機体の操縦性を低下させる可能性があるという。

 ANAでは、この整備作業の影響で多くの欠航が発生。欠航が生じた7-9月期の減収は、55億円となった。

*イーストCEOへのインタビュー前編はこちら [1]

関連リンク
Rolls-Royce [2]
ロールス・ロイス [3]
Boeing [4]
ボーイング・ジャパン [5]
全日本空輸 [6]

ロールス・ロイス イーストCEOに聞く
前編 ANAの787エンジン改修「東京五輪前の完了が重要」 [1](18年12月12日)
後編 2軸化とハイブリッドエンジンの可能性 [7](18年12月12日)

ANA 787エンジン問題
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