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伊丹と神戸、代替便の受入終了 JAL香港便は関空発着に

 国土交通省航空局(JCAB)は10月10日、関西空港が台風21号による被害を受けたことで実施していた、伊丹空港と神戸空港での国内線・国際線の代替便受け入れを11日付で終了すると発表した。関空のバゲージハンドリング(荷物扱い)システムが、11日から本格運用に復帰するため。これを受け、日本航空(JAL/JL、9201)は伊丹-香港間の国際線臨時便の発着地を関空に変更する。

関空の旅客施設復旧で香港臨時便を関空発着に変更するJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国交省によると、9月14日から実施してきた伊丹と神戸の代替便受け入れは、伊丹が14日から17日までの4日間で計20便、神戸が16日と17日の2日間で計2便で、両空港合わせて22便になったという。

 JALは9月21日に、伊丹-香港間の国際線臨時便を運航すると発表。香港発を10月17日、伊丹発を21日に運航予定だった。今回の決定により、発着地を伊丹から関空に変更した。

 運航スケジュールは、17日の関西行きJL8850便が香港を午前2時30分に出発し、関空には午前7時20分着。21日の香港行きJL8859便は午後7時20分に関空を出発して、午後10時20分に到着する。機材はボーイング737-800型機で、座席数は2クラス144席(ビジネス12席、エコノミー132席)。JALによると、予約はすでにほぼ満席だという。

 関空は9月4日に台風21号の直撃を受け、1994年9月4日の開港時から運用している1期島にあるA滑走路が冠水。JALなどが乗り入れる第1ターミナルは、地下になる電源設備が海水被害に遭い、大規模な停電が発生した。一方、2期島(07年8月2日供用開始)にあるB滑走路と第2ターミナル(12年10月28日供用開始)は大きな被害を受けず、9月7日から暫定運用を開始できた。

 9月21日には、第1ターミナルでの旅客扱いを全面再開。しかし、バゲージハンドリングシステムの復旧が一部にとどまっていたことから、国交省は伊丹発着の国際線臨時便などの就航を代替便として認めていた。

 関空は旅客便の復旧が進む一方、貨物施設の復旧見通しが立っていない事業者もあるなど、旅客便の利用者から見えにくい分野では、依然として課題が残っている。対岸と空港を結ぶ連絡橋は、6日からマイカーも通行できるようなったが、完全復旧は2019年のゴールデンウイークごろになる見込み。

運航スケジュール
JL8850 香港(02:30)→関西(07:20)運航日:10月17日
JL8859 関西(19:20)→香港(22:20)運航日:10月21日

関連リンク
国土交通省 [1]
日本航空 [2]

特集・台風で顕在化した関空経営陣の課題
前編 「もう貨物は戻ってこないかも」 [3]
後編 「“素人判断”もうやめて」 [4]

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当紙編集長が寄稿
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[雑誌]「関空の台風被害は人災」週刊エコノミスト 18年9月25日号 [17](18年9月18日)