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関空、台風24号接近時は滑走路閉鎖 浸水対策や多言語対応強化

 関西空港を運営する関西エアポート(KAP)は9月28日、大型で非常に強い台風24号の進路によっては、最接近する7時間前に2本ある滑走路を閉鎖する方針を示した。また、台風21号で被害を受けた排水ポンプ設備や貨物施設への浸水を防ぐため、土嚢(どのう)を約2万4000個使用し、中国語や韓国語を話せるスタッフを増員するなどの対策を打った。

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台風24号対策を進める関西空港=18年9月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 台風24号は29日午後1時の推定で、沖縄県の久米島付近を時速20キロの速さで北に進んでいる。中心気圧は950ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は45メートル、最大瞬間風速は60メートルで、中心から東側280キロ以内と西側220キロ以内は風速25メートル以上の暴風域となっている。

 KAPでは、4日に台風21号が関西地域を通過した際、対岸と結ぶ1本しかない連絡橋がタンカーの衝突により使えなくなり、約8000人が空港島内に孤立したことから、今回は早期に空港を封鎖することで、同様の被害が生じるのを防ぐ。

 浸水対策は、土嚢による大規模設備の保護のほか、地下電気施設の入口に土嚢と止水板、止水シールなどを設置。PBB(搭乗橋)もモーターを梱包ラップでつつむなど、水害対策を29日までに進めてきた。

関空の浸水対策で積み上げられた大型土嚢(関西エアポート提供)

 中国や韓国からの訪日客が多いことから、前回は中国語6人、韓国語2人だった外国語を話せるスタッフを、今回は各8人ずつに増員。多言語拡声器「メガスピーク」を前回の2台から8台に増やすほか、関空のウェブサイトや緊急情報発信用Twitterは5言語、Facebookは日本語と英語で情報発信する。

 備蓄品も、前回は飲料水約2万3000本が使われたことから約4万本を用意し、非常食も1万5000食を使用したことから、3万7500食を準備。スマートフォン用バッテリー150個など、通信機器の電源確保も進めている。

 また、避難場所として空港内にあるホテル日航関西空港の宴会場を確保。鉄道やバスなど2次交通機関との連携も強化したという。

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当紙編集長が寄稿
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[雑誌]「関空の台風被害は人災」週刊エコノミスト 18年9月25日号 [16](18年9月18日)