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MRJ、部品の製造再開 18年に飛行試験6機体制

 三菱重工業(7011)は10月31日、子会社の三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」の部品製造を再開したことを明らかにした。

10月中旬から部品製造を再開したMRJ=17年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 MRJの量産初号機の納期は、今年1月に発表された5度目の延期により、2020年半ばを予定。現在は5機ある飛行試験機をすべて米国の飛行試験拠点であるモーゼスレイクへ持ち込み、2020年初頭までの型式証明(TC)取得を目指している。

 MRJの開発は、三菱重工の宮永俊一社長直轄体制へ2016年11月に移行後、外国人専門家の活用を拡大。これにより、MRJは一部装備品の配置などを変更したほか、電気配線全体を最新の安全性適合基準を満たす設計に改めた。

 今回製造を再開した部品は、新たに飛行試験に投入する機体向け。同機は当初量産初号機として製造を始めた機体とみられ、10月中旬から設計変更を反映した部品の製造を順次再開している。今春以来の製造再開で、完成した部品は機体内に取り付けられる。

 三菱重工では、6機目のMRJを「飛行試験に供する機体」としており、量産初号機として飛行試験に投入するか、6機目の飛行試験機とするかを現段階では明確にしていない。6機目が完成するのは、2018年秋ごろになるとみられる。

 三菱航空機の水谷久和社長は、6月に開かれたパリ航空ショーでAviation Wireのインタビューに応じ、6機目について「今年のしかるべき時期には製造に着手しないと、デリバリー(引き渡し)スケジュールがしんどくなる」との見解を示した。

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