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MRJエンジン、FAAの型式証明取得 PW1200G

 三菱重工業(7011)と三菱航空機、米ユナイテッド・テクノロジーズ(UTC)傘下のプラット・アンド・ホイットニー(PW)は6月1日、開発中のリージョナルジェット機「MRJ」が搭載するPWの新型エンジン「PW1200G」がFAA(米国連邦航空局)の型式証明を取得したと発表した。

FAAから型式証明を取得したMRJのエンジンPW1200G=16年8月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 MRJは、メーカー標準座席数が88席の「MRJ90」と、76席の「MRJ70」の2機種で構成。エンジンはいずれも低燃費や低騒音を特長とする、PW製のギヤード・ターボファン・エンジン(GTFエンジン)「PurePower PW1200G」を採用する。推力は1万7000ポンドで、MRJはPW1200Gを2基搭載する。

 PW1200Gは、現行のリージョナル機と比べて機体の運航コストを10-20%抑え、排出ガスを最新基準に対して50%低減できるとしている。

 FAAが定める型式証明の要件クリアに向け、15種類以上にのぼるシステムレベルの基幹試験に成功。これらの試験を通して、性能や耐圧、耐荷重、耐久性、排出ガス、騒音、鳥衝突、ファンブレードコンテインメントといった項目について、型式証明取得に必要なデータを得た。開発、証明作業、飛行試験を通じたエンジンの総運転時間・サイクルは6000時間、1万5000サイクルに達している。

 MRJの飛行試験機は5機で、すでに全機にPW1200Gが搭載されている。6月に開催されるパリ航空ショーでは、飛行試験3号機(登録番号JA23MJ)にローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)の塗装を施し、地上展示することを発表している。

 今回FAAから取得したのは、エンジン単体の安全性を証明する型式証明。今後は量産機納入の半年前にあたる、2020年初頭までに機体の型式証明取得を目指す。

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三菱重工業 [1]
三菱航空機 [2]
Pratt & Whitney [3]

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