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世界の航空会社、2026年は純利益半減230億ドル 中東混乱と燃油高=IATA第82回年次総会

 IATA(国際航空運送協会)は現地時間6月7日(日本時間同日夜)、2026年の世界の航空会社による純利益が230億ドル(約3兆6600億円)になるとの見通しを、ブラジルのリオデジャネイロで発表した。中東での戦争に起因する運航混乱と燃油価格の上昇が響き、2025年見込みの450億ドルからほぼ半減する。昨年12月時点の前回予測410億ドルからも大幅に下方修正した。

 純利益率は2.0%で、2025年見込みの4.2%、前回予測の3.9%から低下する見通し。業界全体の収入は1兆1650億ドルと、2025年の1兆650億ドルから9.4%増加する一方、営業費用は13%増の1兆1170億ドルに達し、収益性を圧迫する。旅客数は51億人(前年比2.4%増)、貨物量は7170万トン(同0.2%増)を見込み、座席利用率は84.0%と過去最高を更新する見通し。

リオデジャネイロで開かれている第82回年次総会で航空業界の見通しを説明するIATAのウィリー・ウォルシュ事務総長=26年6月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
利益は1人4.50ドル
燃油費40%増加
中東は43億ドル赤字
SAFは年間240万トン
27年は厦門

利益は1人4.50ドル

 リオデジャネイロで6日から開かれている第82回AGM(年次総会)で、IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は7日、中東での戦争に伴う混乱と燃油費上昇により、航空会社の収益見通しが悪化したと説明した。世界全体では、航空会社の純利益は2025年の450億ドルから、2026年は230億ドルへ縮小し、純利益率も4.2%から2.0%に低下する。

リオデジャネイロで開かれているIATAの第82回年次総会=26年6月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 旅客1人あたりの純利益は4.50ドルと、2025年の9.10ドルから半減する。ウォルシュ氏は、航空会社が燃油価格上昇の影響を受け、運賃引き上げや効率化で一部を吸収しているものの、前年並みの収益性を維持するには不十分だとした。旅客1人あたり4.50ドルとなる純利益については「多くのFIFAワールドカップ会場では、ホットドッグも買えない額」と述べ、コストや税負担がさらに増えた場合の余力は乏しいと指摘した。

 航空会社の収入のうち、旅客運賃収入は8390億ドル(前年比9.2%増)に達すると予想。有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)ベースの需要は2.1%増にとどまる一方、燃油高の一部を回収するため、旅客イールドは7%上昇すると予想している。2026年の実質平均往復航空運賃は、付帯収入を含めて462ドルになると予想し、2016年との比較で26.3%下回る水準だという。

 貨物収入は1620億ドル(前年比7.2%増)と予測。貨物需要を示すCTK(貨物トンキロ)は0.7%増にとどまり、実際の貨物量は7170万トン(同0.2%増)を見込むが、貨物イールドが6.5%上昇することが収入増を支える。

 付帯・その他収入は1650億ドル(前年比12.6%増)に達し、2019年以来初めて貨物収入を上回る見通し。燃油高に直面する航空会社が、顧客単価を引き上げる戦略を進めていることを反映した。

燃油費40%増加

 燃油費は2025年の2520億ドルから、2026年は3500億ドルへ約40%増える見通し。年間の燃料消費量は1040億ガロンと2025年から変わらないため、価格上昇がコスト増の主因となる。営業費用に占める燃油費の割合は、2025年の25.4%から2026年は31.4%へ上昇する。

 ブレント原油価格は1バレル平均95ドルで、2025年の69ドルから37%上昇する見通し。ジェット燃料価格は1バレル平均152ドルで、2025年の90ドルから約70%上昇すると予測する。原油価格とジェット燃料価格の差を示すクラックスプレッドは、1バレル平均57ドルと過去最高水準になる見通し。

 航空会社は2026年の燃料消費量の約3分の1をヘッジしており、短期的な価格変動をならす効果はある。一方、原油価格を対象としたヘッジが多いため、クラックスプレッドの上昇にはさらされる。IATAは、燃油費上昇が航空会社の収益を大きく圧迫しているとした。

 機材不足もコスト増につながる。航空機の発注残は2026年5月時点で1万8100機となり、2024年の1万7000機から増加した。納入遅延により航空会社は既存機の使用期間を延ばし、稼働率を高めることで対応しているが、リース料は過去最高水準に上昇している。経年機の運航継続により、整備費も増えている。

中東は43億ドル赤字

 地域別では、中東のみが赤字に転落し、その他の地域は黒字を維持するものの、いずれも前年から利益水準が低下する見通し。中東の2026年純損益は43億ドルの赤字で、純利益率はマイナス6.1%となる。2025年は72億ドルの黒字、純利益率9.4%を見込んでいた。中東での戦争により、領空閉鎖や運休、運航混乱、燃油高が重なり、乗り継ぎ需要の減少も収益を押し下げる。

 アジア太平洋は66億ドルの純利益を見込み、純利益率は2.1%。2025年は98億ドル、純利益率3.5%だった。湾岸地域からの原油や燃料輸入への依存が高く、製油所への圧力やジェット燃料価格の上昇を受けやすい。中東情勢に伴う空域制限で迂回運航が増え、燃料消費や単位コストも上昇する。一方で、中東ハブの混乱により、欧州-アジア間の旅客・貨物流動を取り込む航空会社もあるとした。

 欧州は96億ドルの純利益を見込み、利益額では地域別トップとなる。純利益率は3.1%で、2025年の4.5%から低下する。欧州は湾岸地域からのジェット燃料輸入に大きく依存しており、コスト圧力を受ける。一方で、燃料需要の70%相当を危機前にヘッジしていたため、一部は緩和される見通し。ロシア上空の飛行制限やSAF義務化、空港・航空管制費用の上昇、労使問題も競争力を押し下げる要因になる。

 北米は94億ドルの純利益、純利益率2.5%を見込む。2025年は124億ドルの純利益、純利益率3.5%だった。北米の航空会社は燃油ヘッジから大きく離れており、燃油価格上昇がコストへ直接反映されやすい。大手ネットワーク航空会社は比較的対応力がある一方、LCC(低コスト航空会社)は国内需要への依存やプレミアム収入の乏しさから、コスト圧力を受けやすい。

 中南米は12億ドルの純利益、純利益率2.1%を見込む。2025年は19億ドル、純利益率3.8%だった。エネルギー危機に伴う域内通貨の下落や、低所得層の比率が高くビジネス需要が相対的に小さい市場特性が影響する。アフリカは1億ドルの純利益にとどまり、純利益率は0.2%を見込む。中東回避の需要を一部取り込むものの、燃料供給や価格面の脆弱性、財務基盤の弱さが収益を抑える。

SAFは年間240万トン

 SAF(持続可能な航空燃料)の追加購入コストは、43億ドルを見込む。2026年に利用可能なSAFは240万トンで、総燃料消費の0.8%に相当する。燃油価格の上昇により、従来燃料とSAFの価格差が縮小したため、追加購入コストは前回予測をやや下回った。

 CORSIA(国際航空のためのカーボン・オフセットおよび削減制度)の遵守費用は12億ドルから16億ドルを見込む。IATAは、2026年にCORSIAでオフセット対象となるCO2(二酸化炭素)排出量について、2880万トンから8150万トンの範囲と想定している。

 また、IATAが2026年4月に15カ国6500人を対象に実施した調査では、直近の旅行体験に満足していると答えた人が97%に達した。今後12カ月の旅行については、41%が過去12カ月より増やすと回答し、52%が同程度とした。

27年は厦門

 AGMは年に1回開催され、世界各国の航空会社や機体メーカーなどの首脳陣が一堂に会し、航空業界の重要な指針が示される。2027年の第83回AGMと世界航空輸送サミット(WATS)は、中国の厦門(アモイ)で5月30日から6月1日まで開かれ、ホストエアラインは厦門航空(CXA/MF)が務める。中国でのAGM開催は、2002年の上海、2012年の北京に続き3回目で、厦門では初開催となる。

 厦門航空の趙東会長は、厦門について「中国南東部沿岸に位置する歴史的な港湾都市で、中国と世界を結ぶ商業上の接点だ」と説明。謝兵CEO兼社長は、今年後半に翔安国際空港が開港することで「交通・ビジネス拠点としての厦門の重要性が高まる」と述べた。

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IATA [1]

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